2016/10/23

東京国立博物館特別展「禅」

上野へ夫とアート散歩。
東京国立博物館 平成館で開催中の「禅」へ。

おりしも上野公園周辺では、「数奇フェス」が開催されていて、いろんなイベントがあった。
東博へ歩いていく噴水広場にも、芸祭神輿のすばらしい展示も鑑賞できた。
TOKYO数奇フェスは、今日10月23日まで)


先日、「マインドフルネス」のTVを見ていた。瞑想を含む認知療法として知られていて、心のバランスをとりもどし、ストレスに対処するメソッドというところだろうか。
これも、「禅」の精神をルーツとする。
今回の展示は、国宝や重要文化財も多く出品してるとあり、見に行ってみたのだ。

この特別展は、臨済禅師1150年、白隠禅師250年記念というように「禅」の始まりからたどれるように構成されていた。
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入場して最初に迎えてくれるのは、有名な白隠慧鶴の「達磨像」。チケットのデザインにも使われている。
かなり大きな作品で圧巻。
展示の目玉を最初にばーんと出した構成もなるほどねーと思う。
後の方で、慧鶴の容姿が、この達磨に似てることもわかってくる。

ダルマといえば、張り子の置物とか、「だるまさんがころんだ」という遊びのイメージだが、禅宗開祖の偉い人だったのですよ。したがって、達磨の掛け軸がたくさん。
特徴的だったのは、一般に寺院にあるのは、いわゆる仏像のイメージだが、この展示には、臨済禅の祖となる人物の像がたくさんあったこと。どれも精巧な立派なもの。全て椅子に座り、くつを脱いで座禅姿なのも面白い。

古文書の国宝ものが多かった。歴史的な価値という意味で選ばれているようだった。
いろんな教えを書いたもの、書いた人が有名な人、などいろいろあるが、筆運びとか文字の形は必ずしも整っているものは少ない。内容が大事なんだろう。
ときどきいいなぁというものがあって、それは伸びやかで、書いているのが気持ちいいだろうな、という筆の運びだった。文字を書いて、一番気持ちいいのは、きっと筆なんだろうなと思う。
自分も、ずっと書き続けていれば、自分だけの気持ちのよい味のある字にたどり着けるんだろうか、と夢想する。

後半の第五章 禅文化の広がり、に行くとやっとほっとするというか、肩に力をいれずに楽しめるものが多く並ぶ。
お道具類や工芸品も、数は少ないがよいものが並んでいた。
国宝「油滴天目」はあまりに有名だが、もう一つの国宝「玳玻天目」は鼈甲発色の大変うつくしいものだった。どうやったら作れるのだろう・・・はぁ・・・。

伝牧谿筆「龍虎図」は、若冲や等伯にも影響したと言われるらしい。実際、虎が若冲の虎によく似ていた。
雪村周継筆「瀟湘八景図帖」には息をのんだ。墨絵なのだが、遠近感と強弱の巧みさ、何よりほんとうに美しかった。
狩野探幽や伊藤若冲の障壁画もあり、安定の見事さ。

展示の最後に、座布団が三つならんでいて、紅葉の庭の写真が飾ってある。
座禅の体験コーナーだった。
ためしに、少し座ってみた。
いつの時代でも、心を静めて立ち止まる、というのは、自分自身を取り戻す、大切なことなんだなと思った。
わたしも時々、マインドフルネスを実践してみたい思った。

11月27日まで。

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2016/09/18

くるり 「東京」の衝撃

9月9日(金)私が毎週楽しみにしている、生放送の歌番組「ミュージックステーション」(Mステ)に「くるり」というバンドが出演した。
くるり結成20周年記念オールタイムベストアルバム『くるりの20回転』が発売になることと、そのベストにメジャーデビュー曲の「東京」が入っていることから、この日のパフォーマンスになったのだろう。

くるりの曲は、ボーカルの岸田繁さんが書いてること、3人くらいのロックバンドなことくらいしか知らなくて、思えばまともに曲を聴く機会がなかった。
すっかり大人の顔になり、ベースの佐藤さんは白髪になり、曲を聴き始めた私は、すっかり魅了されてしまった。
ああ、なんてすごいんだ!
終盤の佐藤さんの「パーパーパッパパー」のコーラスも驚きをもって聴き入った。

その後youtubeで10年前の音源を見つけ、何度も聞いた。
ああ、でもなんかね、負けてないよ。今も。

私の脳は、しばらく、「東京」の無限ループ状態になった。それまではbump of chickenの「ひとりごと」とかバンプの曲ばかりだったのに、塗り替えられてしまった。(バカだねぇ)
何がこんなにいいのか!
感じてるものをむりやり言語化すれば、それは「叙情」だと思った。
この曲にある、胸をかきむしりたくなる叙情!

ほんとの岸田さんの書いた詩の中身が分かるかと言われると、自信がなかった。
簡単に「分かる」というのは、安易すぎると思うから。
(当然ながら、歌詞だけじゃなく、メロディーと演奏技術の合わせ技が生みだしてる)

でも、生まれた東京から、地方の大学へ進んで、東京の外から東京をみたこと。
よりどころのない土地で、一人暮らししたこと。
この時に持っていた、モヤモヤした感情は、この歌の中の本質とすごく共鳴したんだ。
そのことのほかに、自分が五行歌なり、文章なりで表現したいもの、詠いたいものも、まさしくこの「叙情」だと気づかされた。
こんなにも心を奪われ、揺り動かされるこの「東京」に秘められた「叙情」にやられたんだ。

自分もいろんなことを考えたり、思ったりするけど、そんなこと、うまく話せないし、話せる人もいない。
でも、歌や文章に書けば、誰か読んでくれる人がいるかもしれない。
そんなかすかな希望の光を持ちながら、いつも書いている。
話せないのに、書くのは平気なのは不思議でもあるけど。


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2016/01/05

2015年カウントダウン シルヴィ・ギエム ー ボレロ

昔、「愛と哀しみのボレロ」という映画を見に行った(はずだった)。
はずだった、というのも、私はその映画の途中、寝落ちしてしまい、ほとんど内容を覚えていなかった。
昨年東急ジルベスター(大晦日)コンサートとして、100年に1人の逸材、「バレエ界の至宝」と讃えられるダンサーの「ボレロ」がカウントダウンに選ばれTV放送すると聞いて、録画しておいた。
家のものとのチャンネル争いに負けたのだ。(後にライブで見なかったことが悔やまれる)
それくらいだから、特にバレエに詳しいわけでもなんでもない、ただの好奇心からの録画だった。

初めて見た、ギエムの身体は驚くべきものだった。
50歳と聞いたが、天性の骨格が、鍛え抜かれた筋肉に包まれて、細く、しなやかで鞭のような身体。
腕を振り上げる、脚を振り上げるだけで魔法にかけられたよう。
赤く丸い舞台で踊るギエムは、巫女のように見えてくる。

今でも、ふとした時に、ボレロのリズムが聞こえてくる。
まさに中毒性のリズム。
ジャンプ、弓なりのポーズ、全てに魅了された。
ご覧になってない方に、ぜひ紹介したい。

カウントダウンボレロ(YouTube)


他のダンサーのボレロも見比べて見て、それぞれの良さがあるけれども、ポーズの美しさは断トツである。
2014年に、50歳になる2015年に引退公演を決めたこと、華やかで個性的な経歴、知れば知る程魅力的な伝説のバレリーナであった。

シルヴィ・ギエムまとめ

年明けから毎日1回は見てしまうのであるが、この舞台、踊りはアスリートの演技に似ていると思った。
例えばフィギュアの羽生結弦の演技を見るような、技術力と表現力。
言葉を超えた身体をつかった表現の力に、言葉でないところで共鳴する。

ボレロのリズムのように、最初はギエムを、次はまわりの群舞を、その次はオーケストラの演奏を、集中をずらしながら、もう1回、もう1回と見返したくなる。

あまりに、言葉を失くして見つめつづけたからこそ、猛烈にこの紹介文を書きたくなった。
そして言葉を超えたコニュニケーション、表現に打ちのめされるのも、それはそれで至福だと思った。
時には言葉を捨てて、踊るが良い。
人が踊るのは本能。

ギエムのように踊ることはできないし、誰に見せるわけでもなくとも、自分の踊りを踊ることは大切だし、無くしたくないと思った。

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2013/08/22

台北旅行のアルバム

2013/08/14~17まで台北に夫と二人で旅行しました。
写真をアルバムにまとめたので、興味があったらのぞいてみてね。
デジカメで撮った写真と、iPhoneで撮った写真をまぜたら、デジカメは日本時間、iPhoneは自動で現地時間になって、写真の並びが時系列にならず。笑ってゆるして。

(撮影日を全部直したのですが、次へ、で見て行くと、31→26へ行ってしまいループしてしまいます。
サポートに問い合わせ中です。左の一覧からクリックしていただくと全部ご覧いただけます。
お手数をおかえしますが、よろしくお願いします。 2013/08/24追記)

次へ、や、前へ、のリンクの不具合の件、解消いたしました。アドバイスいただき、修正できました。
以前スムーズに見られなかった皆様、申し訳ございませんでした。m(_"_)m 2013/08/24追記


こちらから↓
台北旅行
http://shiduku.cocolog-nifty.com/photos/2013081417/index.html

※サイドバーからも飛べます。

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2013/06/09

Art on Ice inJapan !

本日、BSフジにて、6月9日(日)19:00~20:55 Art on Ice inJapanの録画放送があります!
Art on Ice inJapan とは、

世界的シンガーによるライブパフォーマンスにあわせて、 世界チャンピオンやオリンピックで活躍したトップスケーターたちが、 競技とは違った自由な表現で観客を魅了する、 世界最高のアイスショー (Art on Ice inJapanのhomepageより)

という、アイススケートファン垂涎のショウなのです!
そして私こちらの6月1日(土)国立代々木競技場 第一体育館へ夫と二人で見に行きました。(夫がチケットとってくれたものの、当日朝からの頭痛で、頭痛薬飲みながら必死で行ったのでした)
だって!

コラボシンガー、キャサリン・ジェンキンス、藤井フミヤ。
参加スケーター、荒川静香、安藤美姫、鈴木明子、サラ・マイヤー、
高橋大輔、羽生結弦、無良崇人、ステファン・ランビエル。
そりゃ、はってでも行くわさ。

ステージでは、キャサリン・ジェンキンスさんの歌声(めっちゃ美声&音域広!)が響いてたくさんのダンサー、(氷上にもダンサー)がパーフォマンスを見せてくれ、一般的なスケートメニューの他にもコミカルなものや、リボンをつかった空中ショウ、ペアやアイスダンスなど、最後まで楽しませてもらいました。
なんといっても、驚いたのはチケットが「アリーナS」だったのですけど、アリーナSSのひとつ後ろ、前列2番目だったんです! アリーナSもピンキリなのにめっちゃいい席で、二人でほんとかいな、と茫然とするくらい庶民なわたしたち。その後、アリーナSSとの差を最後に痛感するのですけどね・・・。

オープニングは、出場者&ダンサー全員でお出迎えスケーティング。
あ、あ、あだいちゃんがいるおー! とうるうるくる。
最初のスケーターは、鈴木明子さん。白いマントを脱ぐと、クジャクのようなあざやかなグリーンでキラキラの衣装、力強い滑りをほんとに目の前で見せてくれて。

わたくし、鈴木明子さんを見てるうちに、ぼろぼろ涙が出ました。
なんといううつくしさ。なんという残酷さ。
一生滑れる仕事ではないし、できなかったら干されるでしょう。ずっとたゆまぬ努力を積み重ね、かつ年齢や肉体との試練の中、彼女は滑ることを選んだんだ、と。
もう、泣けて泣けて。

このあとは、あとでBSフジをみていただくとして(手抜き)、特筆すべきは荒川静香さんの完璧さ。
このごろは解説者みたいになっていますが、やはり彼女はプロスケーターとして己を磨き続けていたんです。
ジャンプも2回飛んで、ノーミス。イナバウワーも体の柔らかさを見せつけてくれて、ショウとしてすばらしかった。
やっぱり金メダリストっていうのはすごい!

もちろん男子は魅力炸裂です。
大ちゃんはなかなかでてこなかったんだけど、結弦くんは2回でてきてくれました。ショートプログラムと、あとは藤井フミヤの歌う「True Love」にのせて。もう王子っぷりが完璧で。目が☆ですよ。あれ、ハートか。
フミヤさん思ってた通りだけど、もっと小柄で。だけど歌うまっ! 声よっ!

無良さんもなかなか男っぽいダイナミックな滑りで、結構好きです。若いし楽しみですね。

そして大ちゃん、もう、メロメロですよ。なんであんなにフェロモンがあるのでせうか。
色っぽいなんてもんじゃない。そしてちゃんとそれが武器って知ってるのよ。
観客アリーナSS正面の前で、留って、手をさしのべるのよ。キュン死レベルですわよ。
(この手のアピールは、結弦くんもちょっとやっていて、もうショック死しますわね。おほほ。)

いやはや、堪能しました。

あと面白かったのは観客のおきてっぽいもの。
演技中は、あまり騒がない。
演技が終わった後、スタンディング・オベーション。&「MIKI」とか「結弦」とか「大輔」という布を掲げる。
そして立ち去るとすみやかに座る。
海外の選手には、国旗を振っていましたね。
その行儀よさがとても上品だなーと思いました。

最後に、SとSSの差についてですが、ショーのフィナーレで、全出場者がリンクにでてきて、なんと一周握手というかハンドタッチしてくれるんです! SS(リンク最前列)の方だけ!
納得しましたねー。これが4,000円の差!

もう、キータッチ滑りまくりでお送りしました! すばらしかったです! 
いまは選手層が厚いので、ほんとに満足できました。(夫に感謝しないと。)

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2013/05/17

【読書ノート】原田マハ 『楽園のカンヴァス』

第25会山本周五郎賞受賞。帯には「それは真っ赤な贋作か、至高の名品か? 手に汗にぎる絵画鑑定ミステリー、若き二人の研究者の鑑定対決。リミットは7日間・・・・!」

ミステリ好き、絵画好きのわたしにとっては魅力的なキャッチ。カバー画はアンリ・ルソーの「夢」。
まさにこの「夢」とそっくりなもう一枚の「夢をみた」という作品の鑑定をめぐるいろんな人間模様と、ルソーへの愛が凝縮された傑作だった。

日本に二枚しかないエル・グレコの一枚を持っている大原美術館の監視員早川織絵が、MoMAのチーフ・キュレーターティム・ブラウンに「夢」を貸し出す交渉の窓口に指名されたところから物語が始まる。
少し前に見てきたばかりのエル・グレコ・・・MoMAはまだ行ったことがないけれどいつか行きたい憧れの美術館・・・。
ストーリーがすすむにつれ、読み手はパリの街角を散策し、若く貧しい画家たちのアトリエをのぞきこんでいるようにひきこまれていく。真実を語るのは誰か、絵画に対する情熱、正義、守るべきもの。
鑑定を依頼されたティムと織絵はさまざまな思惑に巻き込まれながらも、まっすぐに自分の信念の情熱を守り抜く。
読んでいて涙が止まらなくなった。
胸をこみあげるもの、ありったけの情熱を注ぐということ、傑作が生まれる奇跡のようなシュチュエーション。
体が震えた。
ほんとにありがとう。
また生涯忘れられない傑作に出会ってしまった。

人のこんなふうに何かを愛して、夢中になって、どうかなってしまうような状態っていったいなんていったらいいの? 愛なのか、情熱なのか、なにをあてはめても物足りなくて、叫びたい衝動。
たからもの。見えないたからもの。
何か。
胸のあたりからこみあげてくる何か。

とにかく素晴らしい本です! アート、ルソーやピカソに興味がある人はたぶんノックアウトされるでしょう。


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2013/02/09

El Greco エル・グレコ展

東京都美術館、エル・グレコ展に先日行ってきました。

エル・グレコは、本名ドメニコス・テオトコプーロス、1541-1614、16世紀から17世紀にかけて活躍し、ベラスケス、ゴヤとともにスペイン三大画家の一人に数えられる。(パンフレットより)

クレタ島出身であることから、古いスペイン語でギリシアの人=エル・グレコと呼ばれたらしい。本名1文字も入ってないという衝撃。
エル・グレコは、日本には岡山県倉敷市の大原美術館に『受胎告知』、これと国立西洋美術館にある『十字架のキリスト』の2枚しかないそうだ。それだけに、エル・グレコはあまり日本になじみがないかもしれない。ましてや、宗教画というジャンルそのものが敬遠されるかもしれない。

正直わたしもピンときてなかったのだが、夫がしきりに行きたがっていたので、スペイン三大画家だしいいかもと思ってついて行ったといういいかげんさだった。
まあ、しかし、これはいい意味で裏切られ、ほんとにおもしろい展示だった!

展示の前半は、肖像画が中心。彼はまず肖像画家として地位を得たらしい。
肖像画はごく一般的な構図なのだが、あれ? と思わせる。
肩のラインをまっすぐでなく、ちょっと変化をつけたり、手に表情があったり。
クレタからイタリア、スペインにわたって徐々にエル・グレコらしいダイナミックな構図が明らかになってくる。
とくに背景の描き方が、遠近法といっていいのか、奥の奥のその先まで描いて、主役を大きく浮き立たせる。

また絵がどの位置にかけられるか、見る人がどの角度から見るかによって変形する必要がある、という持論のもとに、下から見上げる祭壇画は、縦長にデフォルメされた構図をとる。それが、すごくダイナミックであり、うねるような流れを生み、高揚感さえ感じる。

正直に言ってしまうよ。なんかね、「漫画みたい!」と思ったのだ。
いわゆる劇画タッチなのだ。
わたしにはそれがエル・グレコの一番おもしろかった点だったのだ。
いや、これは褒めてるのだ。見る人を引き付けて、ドラマへ誘い込む。信仰という厳かさへと。

これは今回の展示の白眉、「無原罪のお宿り」サン・ニコラス教区聖堂蔵、サンタ・クルス美術館寄託、
縦347cm×横174cm、そそり立つような大きな絵画。パンフレットのコピーなので、両端はカットされている。
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右下の天使の足元からうねるようにせり上がる流れ、立体3D感覚の構図、きらめく光と影、圧倒的なすばらしさである。無宗教のわたしでも、ひれ伏したくなる。
これは、アンナが聖母マリアを身籠ったのは、原罪を免れた受胎だったというキリスト教義にもとづいた作品なので、鳩の精霊とたくさんの赤子の頭(命?)からマリアが下りてくるシーンらしい。
わたしも、絵の下でしゃがんで見上げてみたが、上からなのか下からなのかはよくわからなかった。
しかし絵画を流れている大きなうねり、エネルギー、浮遊感はじんじんと伝わる。

このようにエル・グレコの構図は、独自の三次元感覚と表現が秀逸。視線から構図を計算したように、非常に頭のよい人だったんだろうなと思う。
宗教絵画とあなどるなかれ。めくるめく三次元感覚に酔いしれるがいい!<何様?

上野、東京都美術館にて、4月7日まで。

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2013/01/20

森本千絵 en°木の実 展 

神宮前のワタリウム美術館のミュージアムショップonSundaysへ、「森本千絵 展 en°木の実 展」を見に行く。入口からものすごく人が密集していて、あせる。
入口からガラスケースにびっしり作品がつまっていて、それを行列してみんなが覗きこんでいるのだ。
奥をみると、たしかにそこはミュージアムショップの一角で、その壁面やらちょっとしたスペースに所狭しとアートワークがあふれている。

小学校の教室のように、新聞コラージュ。新聞に切り張りしたり書き込みしたものが壁ぎっしり。
地下へなんとかおりていけば、その階段の横の壁面も、びっしり。眺めながら下りたくても、上ってくる人や下りたい人がやっとすれ違う幅で、立ち止まるのがむずかしい。

地下は、まさにワンダーランド。
木箱に入った作品、引き出しにぎっしりつまった、アイディアのメモやら試作品。
iPadによる映像作品のデモ。それも何台も。
オリジナル商品などの販売。

日曜日の午後で特に人が多いところへ行ってしまったのも悪いが、若い人を中心に関心の高さを感じた。
ぎゅうぎゅうになりながら、全部じっくり見ることはできなかったけれども。

森本さんは、手仕事でアイディアを生みだす人なんだなぁと実感。
漫画でいう、ネームみたいなものをたくさん書いて、実際には没になったアイディアも引き出しにいくつか入っていた。プレゼン資料にも、細かな手書きの文字がいっぱい。
コンセプトを明確にして、ビジュアルデザインをし、メッセージとして伝えてゆく。

その自由ないたずら書きのようなラフスケッチを見ていて、ちょっとうれしくなった。
わたしももっといたずら書きいっぱいしなきゃ、って思った。

森本千絵 en°木の実 展 
2月3日(日)20:00まで
ワタリウム美術館 onSundays

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2012/12/09

【観劇】 第二回「演劇早慶戦」

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テーマは「平成のシェイクスピア」、1日2回公演の夜の部に行ってきました。
演劇早慶戦って耳慣れないと思ったら、まだ第二回だそうです。
公式サイトはこちら

(以下芝居の中身にふれています。ネタばれ注意です)

先攻後攻をいきなりジャンケンで決めたのでびっくり。大道具の準備、今から?!
ジャンケンは慶応が勝ち、昼の部後攻だったので、同じく後攻を選んだ。
受付でもらったチラシに、投票用紙があり、観客が3つの観点からどちらがよかったか選び、最後に発表があるという。

◇早稲田大学 「青の楽園」◇
舞台は人里離れた山の飯場。住人はどうやら犯罪者のようす。
新しく入ったわけありそうな「よっちゃん」の登場から、飯場のバランスがくずれてゆく。

舞台にたくさん足場のようなものが組まれて、ダイナミックに駆けあがったり、転げ落ちたり、体を張った演技。
ただ、セリフ回しが早口で、何を言ってるのか聞き取れないことが多々あった。

よっちゃんはともかく、新入りが入るたび繰り返されること、でもなぜ残る人たちがいるのか、全体的な状況がいまひとつ掴めなくて、けっきょく最後までよくわからなかった、というのが正直な感想。
女は、人形の化身だとしても、獅子舞はなんだったんだろう?
シェークスピア作品には、よく亡霊の類がでてくるが、そういうものだったのか?

1人ひとりの役者の演技力は高かったような気がする。ストップモーションで固まったシーンはみごと。
いったん死んだようだった班長も。運動能力や踊りも。
でも、何を伝えたかったのかが私には難しくて掴みそこねてしまった。
結局ここを出ても、待ってるのは同じ毎日の暮らし・・・・。その虚無感だけはわかったのだけど・・・。

◇慶応大学「ロミオとジュリエット/ロミオとジュリエットみたいなの」
(大道具の足場みたいなのは、共通していたのね)
幕あけはロミオとジュリエットの出会いのシーンから始まり、恋に落ち、逃げようとするが・・・いつのまにか違う展開に・・・とここで暗転。これは前ふりだった。(うまいねぇ)

舞台は、大学紛争時代。機動隊勤務の彼と、学生運動側の彼女。どうやら「作戦」で彼女(なぜか盲人?)はスパイとして同棲しているらしいのだけど。学生運動を進めるため、女子大生は体で奉仕して同士を募っていた。
その中で、作戦なのか愛なのかにもだえ苦しむ。
舞台から引き裂かれそうな苦しみと、愛なのか性なのか、服従なのか自立なのか、いろんな相対するものが渦巻いてびりびりと伝わってきた。気が付いたら涙がこぼれていた。

すばらしかったです。
わたしは早稲田側の応援のつもりで行ったのですけど、今回は、3つの観点すべて慶応に投票しました。
早稲田が登場人物わずかに8人に対して、慶応側が舞台ボリュームいっぱいの群舞など厚みがあったし、内容もわかりやすかった。いいたいこと、主題が、これが私たちの描く「ロミオとジュリエット」だよ、というメッセージがずどんと伝わったところが強かったんじゃないでしょうか。

結果も、すべて慶応側の勝利でした。

早稲田ひとつ見せられたら、それなりに受け止めただろうけど、比較するというのは厳しいものですね。
ぜひ、リベンジしてくれることを!
舞台を支えた多くのスタッフのみなさまも、お疲れさまでした。
ありがとうございました。

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2012/12/01

尊厳の芸術展 -The Art of Gaman-

芸大美術館でやっている、尊厳の芸術展に先週の日曜日行ってきた。
上野公園は、ちょうどいちょうの黄葉も始まり、秋の陽に色鮮やかでうつくしかった。

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この美術展を知ったのは、NHKの日曜美術館での紹介だった。
(リンクをクリックすると、紹介記事が読めます。)

アメリカの強制収容所、というところに移住した日系の方たちが集められ、財産も奪われ、苦しい生活をしたこと、その中で、生活に必要なものを中心に、少ない材料をくふうしながらいろんなものを作ったという。
写真を撮れたので、いくつかわたしからも紹介したい。

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これは石を削って作った食器だそうです。何とうつくしいのでしょうか。
お皿を作ろうと思った、どんな形にする、そうだ、葉っぱしたらどうか。
石をみつけてあれこれ考えたのでしょう。石はきっといびつで、それをそのまま生かしたのかもしれません。
なにげないものから、こんなものを作ってしまう心に打たれるのです。

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これは少し太めの枝です。彼らが住んでいたのは砂漠のようなところで、まともな木も無かった様子。
大きさは小さな水筒くらいです。少し虫が喰っていたのでしょうか。
ぐるっと山道にして、登る人まで掘っています。「登山」という題でした。

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こちらは、貝細工のブローチです。
女性が胸にかざったのでしょう。
この貝は、枯れた大地を数メートル掘った地層にある貝を集めたそうです。
きれいに洗って、組み合わせて、おしゃれをしたのですね。
それにしてもこんな繊細なものが、壊れもせず、大事にとってあったことも驚きです。
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思わず、「可愛い!」と叫びたくなるブローチです。
鳥が細かくよーく描かれている。小さな木切れに色をつけたものでしょう。

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お人形の箪笥。子どもにねだられたのでしょうか。お父さんがんばりました。足のカーブがなんだか泣けるんです。お人形の箪笥って、そうでしょう? よくまあ、ねぇ。

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文通で収容所から出された封筒に、水彩画が描かれています。
小さなキャンバスです。
収容所の手紙は検閲があり、苦しいとか辛いということは書けなかったそうです。
実際、写真やこれらの作品からは、苦労の実感は正直薄いように思いました。
抑圧された中でも、楽しみを見つけること。名前を奪われ、数字で呼ばれながらも、人間らしい暮らしを必死で求めていた様子の輝きの方が強く感じるからかもしれません。

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芸術家でもなんでもない、市井のごくふつうの人が、苦労して材料を見つけて、生活の彩を求めた史実とそれを証明するこれらの遺品はどれも愛しい。
人ってやっぱり美しいものが好きで、ものを作ることも使うことも好きなんだなと気付かされる。
私はNHKのTVで見たとき、この作品たちに殴られに行きたいと思った。
だけど、これらは優しくてきれいで、切実で、ただそこに静かに佇んでいたのだった。

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尊厳の芸術展 -The Art of Gaman-

会期: 2012年11月3日(土•祝)- 12月9日(日)
月曜休館
午前10時 - 午後5時 (入館は午後4時30分まで)
会場: 東京藝術大学大学美術館
観覧料: 無料

全国でも巡回するそうです。よかったら見てみてくださいね。

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