特別展 縄文 〜 1万年の美の鼓動
東京国立博物館 平成館で開催中の縄文展に行ってきた。
お盆休みで都内はすいてるかと思いきや、平日でもチケット売り場から長蛇の列。
中に入ると、平成館の前に行列はなかった。
ちょっとほっとする。
第1会場は、土器を中心とした展示。
日本国内のさまざまな場所でみつかった土器や宝飾品など。
土器の白眉は「火焔型土器」であるが、そこに至るまでの素朴な「用」のための器から、徐々に装飾の楽しみを見出していく様子がよくわかるようになっている。
3章では海外のイラクやシリア、パキスタンから出土された壺や椀の紹介。
これらは、彩色であり、縄文のような土の立体感で模様をつけるものとは全く違うことに改めて気づかされる。
また、火焔型土器は、新潟県十日町に集中しており、一人のまたはその周りの数人のみで作られたようだ。
持ち手やぶる下げるための突起が、どんどん発展して炎の飾りのようになって。
作り手の喜びが見えるようだ。
第2会場は、目玉である国宝の土偶がすべて見られた。
このポスターにある6点が縄文時代の国宝。
ひとつひとつが透明なケースに入れられ、360度からみられるように工夫されている。
以前にも土偶はみたことがあったが、「中空土偶」と「合掌土偶」は初めてみたと思う。
「中空土偶」の可愛らしくユーモアのあるお顔は、会場でも大変人気があった。
一通り見終わっても、もう一回みたくなる可愛さなのだ。
あとはスタイリッシュな「縄文の女神」
すらりと伸びた脚、ひきしまったボディ。現代アートとしても十分な造形美にうっとりする。
土偶は、女性をかたどったものが多く、女性そのものが神聖なものだったように思う。
命を育む存在として、大切にされていたのだろう。
動物をかたどった土器や、子どもの足型をとったものとか、見ていてほほえましいものもたくさん。
教科書で一度は見たことがある、ゴーグルをかけているような「遮光器土偶」も。
今のように、インターネットはおろか、電気もガスも自動車もなかった時代だけど、小さな幸せや楽しみはあったのだなと思う。
今の私たちがみても、すてきだと思うものが、使われて大事にされていて。
この温かみのある作品たちは、見ていると癒される不思議な力も持っているようだ。
それは、作品の中に、「祈り」、尊い精神を感じるからなのかもしれない。
【特別展 縄文 〜 1万年の美の鼓動】
東京国立博物館 平成館
9月2日(日)まで (月曜日休館)
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