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2018/03/28

【装丁】 倉本美穂子五行歌集 『ふたりして』

ひろしまの同人、倉本美穂子さんが初めての歌集を上梓され、装丁させていただいた。
核となるイラストを決めるのに、ちょっと時間がかかったが、結果的には私が一番いいと思ったものに決まったのでよかった。
イラストをいろいろ探していて素材サイトに素晴らしい作品があるのをみつけた。
調べるとイラストレーターのNaoko Yagiさんという方で水彩で主に植物画を描かれているという。
ボタニカルアートのような繊細な線描と美しい色彩に心を奪われた。
倉本さんの優しさや、命と向き合う真摯さにこの作品の品の良さがぴったりだと思ったのだ。

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ひらがなのタイトルだったので、ちょっと洋風なイメージのフォントを使った。
裏側にもイラスト切り取って動きをつけて配置。

カバー紙は、てざわりのいいモデラトーン、マットなニス引き仕上げ。
タントの白とお値段もそう変わらず、きめが細かくて汚れがつきにくいように思う。
イラスト画像はコントラストを抑えて、柔らかな仕上がりにまとめた。


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帯はイラストの1色をとった渋めの薄紫。
表紙はレザック80ツムギのもう少し濃いピンクを選んでいたのだが、まさかの品切れ製造中とのこと。
発行日に間に合わなくなるので、淡いピンクに変更。
こちらも全体のまとまりにマッチしたのでほっとしたところ。
花切れ、スピン(しおり)は紫でちょっと濃い目のアクセント。

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扉の紙は、カバーと同じモデラトーンで統一。カラー4色で美しく上品な印象。
扉が華やかな分、見返し紙は引き立て役に徹して薄クリーム色に。

この歌集はゲラ読みの段階で何度泣かされたことか。
ご主人の闘病の思い出を歌に書き記している。
失ってしまう大切な命、また、お孫さんのみずみずしい生まれた命。
家族の絆の確かさに、胸をつかまれる一冊。

【書誌情報】

書 名:『ふたりして』
著 者: 倉本美穂子

四六判・上製・310頁
定価1,300円+税
発行日:2018年04月08日
ISBN978-4-88208-155-5

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2018/03/17

【TVドラマ】『アンナチュラル』が素晴らしすぎた件

TBS金9ドラマ『アンナチュラル』が昨日最終回であった。
こちらはヒットメーカーの脚本家・野木亜紀子の作品。
“不自然な死”(アンナチュラル・デス)」の原因究明をするため死体を解剖する「法医解剖医」の集まる、UDIラボが舞台。くわしくは番組ホームページをご覧いただきたい。

ふだんドラマをほとんど見ない私がなぜこれだけは、録画してみようとおもったか。
理由は3つある。

1)推理小説ファンだから
 講談社文庫のパトリシア・コーンウェル「検屍官」シリーズを何冊読んだことか。
 法医学ときいて興味をもった。
2)一話完結
 連続ドラマとして、最終的な事件は続くのだが、毎回一つの謎は究明されるのでカタルシスが得られる。
 私がドラマが嫌いなのは、一話で終わらず引きずるのが嫌だからなのだ。
3)主題歌が米津玄師
 ドラマのクライマックスで流れる「lemon」は最高に胸にささる!

それはさておき、一話を見てこれは面白いと確信した。
人々の心理描写、UDIラボの個性あふれる魅力的なチーム、現代の社会問題への切り込み方、内容が濃くて目が離せない。張り巡らせた伏線が、のちにきれいに回収していく様は、ほんとに気持ちいい。
野木亜紀子氏の脚本、スタッフ、神!

主人公のミコト(石原さとみ)は、自身も実親に無理心中されて生き残ったという過去を持つ。
それでも里親に愛され、使命感を持って職務にあたっている。
どんなときでも食べる、朝から天丼をもりもり食べる。
過去に負けない、逞しさがいい。ミコトのセリフには何度も泣かされる。

実力経験ともに豊富な同僚の中堂も、また恋人を不審死でなくす過去を持つ。
彼女を殺した犯人究明が、ドラマ全体のゴールとなっていく。
中堂演じる井浦新の俺様感と切実さと狂気がいい。

それぞれのキャラクターが絶妙なバランスで、どの人もだいすきになる。
そして「lemon」が流れてさらに悶絶することになる。

みんなシリーズ2を熱望しているが、こんなすごいドラマ簡単にできないよ。
2年でも3年でも待ちますのでよろしくお願いします。

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2018/03/09

【装丁】小原さなえ五行歌集『幼き君へ』

岡山在住の小原さなえさんの五行歌集が、そらまめ文庫の第三弾として刊行されました。
今回は、そらまめ文庫の規定デザインになります。
タイトルのとおり、息子さんへの思いがつまった歌集です。

判型は新書サイズ。気軽に手に取っていただけるよう軽やかな仕様。帯なしカバーのみ。
タイトル文字には、作品の内容に沿うように手書き風みかちゃんフォントを使っています。
規定デザインにその本らしさを伝える貴重な要素として、フォントは大事ですね。
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表紙は飾り枠をつけています。そらまめ文庫ロゴが入ります。
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カバー全体と扉。
帯がないので、1首だけ裏側で紹介しています。
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目次紹介
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歌のページ紹介
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跋文から
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著者のあとがきから、不妊治療を克服した、とあります。
だからこそ、よりいっそう我が子をいとおしく育てられるのかと痛感します。
毎日のように一緒にいて、世話をしながら幸せをかみしめている様子が伺えます。
そこには苦労を感じさせるものはほとんどなくて、ただただ純粋な愛一筋の歌たちなのでした。

【そらまめ文庫 こ2-1】
書 名:五行歌集『幼き君へ ~お母さんより 』
著 者:小原さなえ(こはら・さなえ)
新書判・並製・130頁
定価800円+税
ISBN978-4-88208-154-8


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