SONGS 小沢健二~今 僕が伝えたい音楽とことば~の衝撃
10月5日(木)第437回SONGSは、小沢健二~今 僕が伝えたい音楽とことば~だった。
SONGSサイトによると
今回出演するに当たり、小沢は「SONGS」スタッフと何度もディスカッションを行い、一夜だけのスペシャルなステージをプロデュース。まるで一つの劇場を作ったかのようなステージセットや、番組全体の構成、さらに観客にふるまう飲み物のレシピまで、全てに小沢本人の意向が反映された特別な内容となっている。
おそらく再放送の要望が殺到して、もう一度見られるチャンスもあるかと思うが、あまりに素晴らしかったので、内容や感想などを記しておきたい。
最初に、私は熱狂的な小沢健二信者というわけではなく、ものすごく彼に詳しいわけでもない。
あくまで一ファンの個人の感想であり、小沢健二(以下オザケン)の真意と違うのでは? という批判はご容赦いただきたい。
今年19年ぶりにシングルを発表したこと、音楽活動を本格化したことが告げられる。
そういえば、9月に新曲『フクロウの声が聞こえる』をリリース、SEKAI NO OWARIとミュージックステーション(テレ朝金20:00-)に出演して瞠目させられた。
時代の寵児となっていたとき1998年に日本での音楽活動を停止、ニューヨークに活動拠点を移し、結婚、2児の父親にもなっていた。
私は、彼のホームページをときおり覗いていた。
今回のSONGSは先に書いた通り、オザケンのプロデュースとのことで通例では一般の観客の前でパフォーマンスするが、オザケンの家族と友人を招待してのライブとのこと。
オザケンが、一番大切な人たちの前で一番伝えたいことをパーフォマンスした内容が、NHKで放送されたという贅沢な時間なのだった。
最初のモノローグは「文化が、町をつくる」。
ご自分の奥様はアメリカ人とイギリス人のハーフなので、お子様はアメリカ人と日本人のハーフ(ダブル)。そのお子さんが自動販売機を不思議なロボットとして受け止めている。
お金の入っているロボットが国中に立っていて、それを盗む人がいない、日本の町。それを作っているのが人々。
「人々の驚くべき文化が驚くべき町を、都市をつくっている」
彼の考えは、子どもを持ったことで大きく影響を受けたと見受けられる。何も持たずに生まれ、命だけの力で生きている塊。生き物としての食べること、眠ることのシンプルな意味、価値感。
アメリカの銃社会から、お金の入った機械が平気で放置されている驚くべき日本へ。
その日本の価値を再認識し、それを私たちにフィードバックしてくれる「スーパーヒーロー」として日本に帰って来てくれたのではないか。
1曲目:シナモン(都市と家庭)(2017)
オザケンが昔から大切にしているテーマと、今のテーマの融合をみた。
モノローグ2:「三割増し」〜自分の過去について
SONGS制作チームから、「なぜ芸能界から姿を消したのか」について語ってほしいというリクエストに、モノローグで答えた。
一般に人が自分をよくみせようとする真理。SNS映えを意識した行動。自分の過去を三割増しで語ってしまうことへの危惧。 現在というものに、過去の姿を一瞬で見せる力がある、と語ったうえで、「現在の自分の眼にみえるものを報告した方がいい」と考えたと語る。それが過去の自分を説明する、と。
2曲目:天使たちのシーン(1993)feat.(Tp)タブゾンビ
3曲目:「愛し愛されて生きるのさ」(1994)feat.(Tp)タブゾンビ
この曲が演奏された意味について、これは今と変わらない価値観として選ばれたのではないかと思った。
悩めるときに未来へすすめる魔法は愛し愛されることだし、家族や友人とうつくしい浜辺を歩くことが大事だし、突然深夜に会いたい思って走って会いにいってしまう人が必要なんだよ。
モノローグ3:身近で本当の話がしたい
日本人が何年も英語を勉強しているのに、英語がしゃべれないというテーマから、「間違える力」の必要性を説く。今の日本に足りないものをじっと外から見ていたオザケン。
4曲目:流動体について(2017)
ああ、そうだったんだ。そうだったんだね。モノローグを聞いて、なぜこの曲を書いたかわかったよ。
一番大事なフレーズだから特異なメロディにしたんだね。
セットのしかけの最高なところは、ぜひ再放送で?!
オザケンは、言葉で都市を、人を文化を作りたいんだ。
日常の人たちの良心を信じて大切にして、それがそういうものを作っていくってことを伝えたいんじゃないかと。
モノローグ5:なんでもない日本と(いい意味で)とんでもない日本。
ダブルにみえる東京を昔は見えなかったこと、今は見えるその姿を音楽やことばで綴りたいという宣言。
素晴らしいメッセージをありがとう。
過去の旅も、結婚も、子育ても、アメリカでの生活もぜんぶ重ねて融合して、今の道を作ってきたんだね。
さあ、一緒に歩こうか。
オザケンのいる東京を。
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