東京国立博物館特別展「禅」
上野へ夫とアート散歩。
東京国立博物館 平成館で開催中の「禅」へ。
おりしも上野公園周辺では、「数奇フェス」が開催されていて、いろんなイベントがあった。
東博へ歩いていく噴水広場にも、芸祭神輿のすばらしい展示も鑑賞できた。
(TOKYO数奇フェスは、今日10月23日まで)
先日、「マインドフルネス」のTVを見ていた。瞑想を含む認知療法として知られていて、心のバランスをとりもどし、ストレスに対処するメソッドというところだろうか。
これも、「禅」の精神をルーツとする。
今回の展示は、国宝や重要文化財も多く出品してるとあり、見に行ってみたのだ。
この特別展は、臨済禅師1150年、白隠禅師250年記念というように「禅」の始まりからたどれるように構成されていた。
入場して最初に迎えてくれるのは、有名な白隠慧鶴の「達磨像」。チケットのデザインにも使われている。
かなり大きな作品で圧巻。
展示の目玉を最初にばーんと出した構成もなるほどねーと思う。
後の方で、慧鶴の容姿が、この達磨に似てることもわかってくる。
ダルマといえば、張り子の置物とか、「だるまさんがころんだ」という遊びのイメージだが、禅宗開祖の偉い人だったのですよ。したがって、達磨の掛け軸がたくさん。
特徴的だったのは、一般に寺院にあるのは、いわゆる仏像のイメージだが、この展示には、臨済禅の祖となる人物の像がたくさんあったこと。どれも精巧な立派なもの。全て椅子に座り、くつを脱いで座禅姿なのも面白い。
古文書の国宝ものが多かった。歴史的な価値という意味で選ばれているようだった。
いろんな教えを書いたもの、書いた人が有名な人、などいろいろあるが、筆運びとか文字の形は必ずしも整っているものは少ない。内容が大事なんだろう。
ときどきいいなぁというものがあって、それは伸びやかで、書いているのが気持ちいいだろうな、という筆の運びだった。文字を書いて、一番気持ちいいのは、きっと筆なんだろうなと思う。
自分も、ずっと書き続けていれば、自分だけの気持ちのよい味のある字にたどり着けるんだろうか、と夢想する。
後半の第五章 禅文化の広がり、に行くとやっとほっとするというか、肩に力をいれずに楽しめるものが多く並ぶ。
お道具類や工芸品も、数は少ないがよいものが並んでいた。
国宝「油滴天目」はあまりに有名だが、もう一つの国宝「玳玻天目」は鼈甲発色の大変うつくしいものだった。どうやったら作れるのだろう・・・はぁ・・・。
伝牧谿筆「龍虎図」は、若冲や等伯にも影響したと言われるらしい。実際、虎が若冲の虎によく似ていた。
雪村周継筆「瀟湘八景図帖」には息をのんだ。墨絵なのだが、遠近感と強弱の巧みさ、何よりほんとうに美しかった。
狩野探幽や伊藤若冲の障壁画もあり、安定の見事さ。
展示の最後に、座布団が三つならんでいて、紅葉の庭の写真が飾ってある。
座禅の体験コーナーだった。
ためしに、少し座ってみた。
いつの時代でも、心を静めて立ち止まる、というのは、自分自身を取り戻す、大切なことなんだなと思った。
わたしも時々、マインドフルネスを実践してみたい思った。
11月27日まで。
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