上橋菜穂子と〈精霊の守り人〉展
世田谷文学館にて開催中の上橋菜穂子と〈精霊の守り人〉展に行ってきました!
会期は7月3日までなのですべりこみセーフ。行きたい方は明日まで!
写真は一部OKマークのところだけ撮れました。
展示は、守り人シリーズの作品紹介を中心に、上橋先生の才能を育てたバックグラウンドの紹介、、二木真希子氏、佐竹美保氏の挿絵の原画も展示されていました。
(会場の最後に、二木真希子氏は5月にご逝去されたと書いてあった。ご冥福をお祈りします。)
NHKで3年かけて放送するドラマ「精霊の守り人」から、出演者がきた衣装も展示されていました。
一つ一つ作品イメージに合わせ凝った作りです。
女用心棒、バルサ役、綾瀬はるかさんの衣装。
チャグム、帝の子ながら、ある秘密から命を狙われる。町の子変装の衣装と、宮廷での衣装。ちっちゃい。
帝の住まいの装飾マークなどもオリジナルで作ったそうで、その製作ノートも興味深かったです。
上橋先生ご自身による登場人物のイメージのイラスト(!)も何点かありました。イラストレーターに人物イメージを伝えるため書いたものらしいです。きけばお父様が洋画家だったというので、絵がうまいのもうなずけますな。
大学時代のフィールドワークの資料から創作についてのインタビューのVTRや、ドラマで使われた衣装や絵コンテなど。
おじいさまが、柔術の達人で警護のお仕事(守り人!)をされていたこと、おばあさまが語り上手で、おじいさまの武勇伝を聞いたこと、大学でアボリジニのフィールドワークをされていたこと。
いろんな素地、経験、学問などから、あの物語が生まれたのだなぁと感心した。
インタビューの中で、「私はファンタジーを書いてるのではない」と語られていてはっとした。
「何でもありじゃないんです」
つまり、想像力は使うんだけど、リアリティーの延長での想像。
精霊の守り人の主人公は、女用心棒バルサ。
それが現実的にありなのか、柔術の道場に取材に行き、そこにうつくしい達人が居て得心が行ったという。
バルサの武器が、短槍なのも女性が使いやすいリアリティがある。
弁慶の体格なら、大長刀でよいが、細身のバルサには似合わない。そういう、細かな設定が綿密な思考と想像力によって組み立てられていたのだった。
そのリアリティが、読むものをどっぷり世界に惹きこんでしまうのだろう。
上橋先生の創作の秘密をちょっとのぞけた気がして、とても興味深い展示であった。
展示のチケットは、バングルになっている。つけて回っていると、映像のブースがあり、そこで別の文様が浮かび上がるしかけ。カッコイイ!
昔読んだ原作をまた読み返したくなった。ドラマも楽しみ!
創作についての上橋先生の矜持は、素晴らしいものだなと大いに刺激を受けた。
これからもご活躍を!
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