【装丁】蛇夢五行歌集『上映禁止
シュールな歌に定評のある、蛇夢氏の第2五行歌集、その名も『上映禁止』の装丁を担当した。
推理小説のようなドキドキするカッコイイ仕上がりになった。
カバーの写真と見まごう精緻な絵は、アニメーション彩色画家、前田慎氏によるもの。
文字の位置がかぎかっこのような配置に、というのは蛇夢さんからのリクエスト。
(ほら、あの古畑任三郎みたいな感じで)
蛇夢さんとの相談でレイアウト上、前田さんの原画を左右逆転して使っている。
今年11月21日(土)~23日(月)にプロミス渋谷サービスプラザで開催されていた「蛇夢×前田慎 戀スル五行歌展」では、反転しない原画が展示されていたのだが、お気づきになっただろうか。
ちょっと光ってしまって見づらいが、比較の参考写真。
「蛇夢×前田慎 戀スル五行歌展」より
表紙は、おまかせします、とのことで表側は、カバーがこっくり濃厚なので、さっぱりシンプルに文字組だけにした。
裏側は、いたずら心がムクムクして、蛇夢さんのこの歌から、存在しない標識を作ってしまった。
一方通行
この先 行き止り
Uターン禁止
私の恋路は
標識三つ
帯や見返しもないシンプルさなので、扉もちょっと「上映禁止」感を出す、ピクトグラムを作ってみた。
標識のイメージともつなげている。
前田さんの絵は、4枚本文中にもモノクロで挿入されている。
蛇夢さんの五行歌から着想を得て、描き下ろしたもの。
カラーの美しい絵なのでモノクロが少々残念ではあるが、光のコントラストが絶妙で、モノクロにしても雰囲気が出ている。
カラーのときに受ける叙情的な印象から、ガラッと変わり、蛇夢さんの歌とからんで、ぞくっとする(褒めてる)力を感じる。
蛇夢さんの歌は、『上映禁止』とタイトルにあるように、肚の底に眠って見せたくないようなものを、シャープな切り口で料理する。
言葉の選び方の洗練、完結な表現、切れ味抜群なのだが、どこか純愛の朴訥さもあって。
魅力ある一冊になっている。
【書誌情報】
書 名 『上映禁止』
著 者 蛇夢(ジャム)
新書判・並製・92頁
本体800円(税別)
発行日 2016年1月11日
ISBN978-4-88208-140-1
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