« あの日のこと(2) | トップページ | 【装丁】 『踝になみだ』 秋葉澪五行歌集 »

2015/10/02

【装丁】 『硝子離宮』 南野薔子五行歌集

九州の歌人、南野薔子(みなみの・しょうこ)さんの五行歌集の装丁を担当した。

南野さんは、華奢な透明感のある、まさに文学少女の風情の方だ。
その優しげな外面に対して、内面は、厳しくストイックで、自己分析ができていて、狂おしく熱量もあることをこの歌集から感じ取った。
こんなにもストイックな世界、黒白モノトーン、それしかいらない。
スリップも薄い水色でも、と思う邪なきもちを抑え、グレーで徹底統一。
本人希望の、「無機質な感じにしたい」というテーマに沿って装丁のイメージを構成した。

Rimg2650
本書は、すっきり縦長の新書判。
帯はなし。
カバーは、モノトーンのラインだけの構成。
「窓枠のイメージを使いたい」というリクエストから、窓枠はイラストレーターで描画した。
グレーの濃淡で軽く立体感を出した。

窓枠下の柔らかなラインは、波のイメージ。
窓枠上は、「硝子」の硬質さやきらめき感を醸し出すイメージを選んだ。

カバー裏側の閉じた窓も、南野さんの希望から。こちらも描画。


表紙は、カバーの窓枠ラインを重ねあわせ、鳥かごをぶら下げる。
鳥かごは、フリー素材のシルエット。きれいなラインのものが見つかってよかった。
「空の鳥かご」も、南野さんのリクエスト。
Rimg2651

南野さんの歌を通して読ませていただき、浮かんできたモチーフの幾つかの中に、螺子、歯車、があった。
無機質感を出すために、歯車を配置してみた。
タイトルのローマ字フォントは、硝子のストローのような透明な表現を使った。

この硝子離宮は、水面に浮かんでいる、と想像している。
舟に乗って、そこへたどり着く。舟に乗れるものは、限られている。
あなたは、この舟に乗れるでしょうか。
Rimg2653_2

【書誌情報】
書 名 ◇ 『硝子離宮』
著 者 ◇ 南野薔子
価 格 ◇ ¥ 700+ (税)
新書判・並製・168頁
本体700円(税別)
発行日 2015年9月28日
ISBN ISBN978-4-88208-137-1

|

« あの日のこと(2) | トップページ | 【装丁】 『踝になみだ』 秋葉澪五行歌集 »

コメント

◇南野様
 まぁ、コメントありがとうございます! 
 喜んでいただけて私もほっとしました。
 ブログも拝見いたしました。
 前身のPDFもあったのですね。期間限定の間ちょこちょこのぞかせていただきます。
 装丁のお話も楽しみにしています。
 こちらこそ、信頼を寄せていただき、感謝でございます。
 『硝子離宮』の魅力が、届くことを願っております。

投稿: しづく | 2015/10/03 17:55

このたびは本当にお世話になりました。

しづくさんに担当していただいたことで
当初私の頭の中にあったイメージよりも
なんというか、無機質ながらも、ほどよく情緒性が漂う
素敵な本になったと思います。
表紙に関しては漠然と、カバーと同じでいいのかな
と思っていたら、新たなデザインを提示していただいて
とても嬉しかったです。

「硝子離宮で昼寝する」という期間限定ブログを
先日立ち上げました。
そのうちにそちらでも装丁について
お話させていただこうと思っていますので
そのときはこの記事をリンクさせてくださいね。

ひとまず、お礼にて。

投稿: 南野薔子 | 2015/10/02 22:19

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【装丁】 『硝子離宮』 南野薔子五行歌集:

« あの日のこと(2) | トップページ | 【装丁】 『踝になみだ』 秋葉澪五行歌集 »