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2015/03/13

歌で仕留める

月刊『五行歌』の毎月の作品評を担当していましたが、今回の2月号の評4月号掲載分を書き終わり、半年間のお役目、無事終了ということに。
先日、原稿を校正してもらっていて、

「人間の何気ない行動をうまく歌に仕留めた一首」

と評に書いたら、「歌と仕留めるの関係がわかりにくい」と指摘を受けて、「あれ、自分では自然に使っていたのだけど、わかりにくかったのか」とはっとした。(「に」という助詞が不適切だったかもしれないが)

きれいな花をみたら、カメラでパチリと撮って、「ほらきれいでしょ」と、SNSに見せびらかしたくなる。
美味しいごちそうを食べたら、それだって、写真を撮って、誰かにと伝えたくなる。記録&シェア。
写真を載せれば、一目瞭然とはこのこと。

【第1ステップ】
歌会でも作品評でも、言葉から映像が浮かぶ作品は、素晴らしいなぁと思う。好みのタイプ。
写真で見せられても、当たり前だけど、言葉から映像を出すマジックはステキ。

【第2ステップ】
見えないもの、映像化できないものを、言葉にできたら、もっともっとマーベラス! 
だから、そういう歌を見ると、「うまく仕留めたな!」と感心と憧れと嫉妬とでひれ伏すのだ。

「仕留める」は、私の中では、すごい褒め言葉なのだ。

でもちょっと考え直して、直喩に変えたらわかりやすいと思って、そこを直すことにした。

「人間の深層心理という見えない獣を、五行歌という矢で仕留めた」

そう、私も矢を背負い、見えない獣を追う狩人なのだ、と再確認する出来事だった。

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2015/03/11

【装丁】『人を抱く青 草壁焔太五行歌選歌集』

このたび発刊された、五行歌創始者、草壁焔太先生の選歌集の装丁を担当しました。
多くの方に手に取っていただきたく、装丁はなるべくコストをかけず、シンプルにまとめる方針をとりました。

まずはカバーから。
鮮やかなブルーが印象的な装画は、ヴォアザン氏。
タイトルの青のイメージを表現していますね。青だけでなく、水色、紫、グリーンが調和しています。
絵を全面にどーんと配置して、あとは同系色配色でコーディネイト。帯はきりっと濃い紫で。
Img_2356

表紙はシンプルにモノクロ刷りだったので、カバー画の輪郭線の面白そうな線を抽出してみました。
細胞を顕微鏡で見たようなミクロ感がでたような気がするのですが、どうでしょう。

Img_2360

見返し紙は、淡いグリーンを選びました。
花切れ、しおりは、紫です。
Img_2359


本歌集は、577首掲載されていますが、そのうち62首が墨字作品。
紙に墨で書かれたものを、スキャンして、画像補正しました。私の作業上一番時間がかかって、苦しかったところ。
でもきれいな仕上がりを見たら、疲れも吹っ飛びます。
墨で書かれた作品は、1ページに1首どーんと置かれて、味わいも一入です。
Img_2362

ここに掲載された五行歌は、こもろ五行歌会代表、遊子さんが草壁先生の膨大な作品の大部分に目を通し、時間をかけて選歌されたものです。過去の歌集の名作から、未発表作品まで、選りすぐりの577首といえます。
墨字作品もありますし、一冊で充実感を感じていただけると思います。
ぜひお手にとっていただけますよう。

【書誌情報】
『人を抱く青 - 草壁焔太五行歌選歌集』

 著者 草壁焔太
 編者 遊子
 四六判・上製・266頁
 ISBN978-4-88208-133-3
 定価(本体1,400円+税)
 発行日 2015年3月25日
 市井社刊

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