【装丁】 『鍋』 大本あゆみ五行歌集
大阪堺市の同人、大本あゆみさんの五行歌集の装丁をさせていただきました。
タイトルの『鍋』は、大本さんのまえがきに、「絶対に必要なもの」「主婦の私の象徴」と書かれています。
装丁案のイラストや写真を提案する際、道具としての鍋もいくつか出したのですが、作者の選ばれたのはこのイラストでした。お料理として完成させ、家族に出される形を好まれたのだなと思いました。
illustAC無料素材 hummingstarさんのイラストです。
帯は、イラストからの緑をとりました。花切れ、しおりとも緑で統一しています。
筆のタッチがのびやかな日本式の土鍋でしたので、タイトルのフォントもやわらかい筆文字に。
漢字一文字のタイトルでしたので、立体感を出したいと思い、こげ茶とオレンジの影を重ねています。
鍋のイラストは素材ですが、おそろいのとんすい(持ち手のあるとり鉢)がほしいと思って、描いてみました。
鍋の柄を真似してお花をつけました。
カバーをとった表紙は、うすい橙。オレンジ色との調和と、まな板のイメージです。
アクセントに、煙をひと巻、描き添えました。
化粧扉もカラーで、温かみを。レンガ色の見返し紙は、鍋の火のイメージでコーディネイトしました。
判型は、縦寸法を四六判から1.5cm短くした、可愛らしい大きさです。
大本さんは、周りのものをよく冷静に観察されています。ときどきどきっとさせられ、帯にあるフライパンの歌など、まさにひざをたたく比喩です。
日常の中にもいろんな真理が隠れているのですね。
【書誌情報】
書名:『鍋』(なべ)
著者: 大本あゆみ
四六判変型・上製・234頁
ISBN978-4-88208-131-9
定価1,200円+税
発行日:2014年11月1日
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コメント
◇脳活マンさま
ありがとうございます(*^^*)
お鍋と台所のイメージでデザインしてみました。
投稿: しづく | 2014/11/08 16:06
暖かく、素朴で、日本らしい、良い装丁ですね。
センスの良さを感じます。
投稿: 脳活マン | 2014/11/04 09:18