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2014/07/04

【装丁】慈雨(アムリタ)ができるまで

このたび、わたくし井椎しづくが、自費出版する五行歌集を自分で装丁する、という夢が叶いました。
一応ブックデザイナーの端くれなわけですから、悔いのないよう思い通りのものを作ろうと心に決めていました。
とはいえ、箔押しや、特別な加工だとむやみに価格が高くなるのがわかっているので、そこまでは求めないなと自分の中で確認。自分らしく、豪華はめざすところではないと思いました。
印刷はシンプルで、紙と綴じはちょっと贅沢、にしようと決めました。

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まずは、判型から。小さ目でかわいいです(笑)。
これも悩みに悩み、ずーっと決まりませんでした。
小さいものが好きな私は、正方形の本か、文庫本サイズにしようと思っていました。
四六判横幅と同じ128mmの正方形で一度版面を作ったのですが、歌をのせるとちょっとスペースが狭く思えました。
横幅を128mmにし、縦を文庫版と同じ148mmにして、やや正方形が長くなった四六判変形にしました。
これで皆さんの本棚に並べたとき、ほかの四六判と前がきれいに揃い、かつ可愛い本になるのです。うしし。

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つぎに上製(固い表紙)か並製(ソフト表紙)かの選択で、小さいだけに固い表紙だと捲りずらいと思い、仮フランス装にしたいと考えました。

(仮フランス装とは→参考:製本のひきだし-仮フランス装

詩歌集にぴったりで、おしゃれですし。フランスの歌もありますし。上製本のようにスピン(しおり)も付けられます。
ちなみに草壁先生の最初の詩集もフランス装だったそうです。
見返しは全部遊び紙(糊づけされない)ため、生まれたスペース、表紙裏折込部分に、蝶がかくれんぼ。

ぱっと見はわかりませんが、製本は昔ながらの糸かがり綴じにしています。
手間がかかり、コストも高いのですが、開きやすく、丈夫なのでぜひそうしたいと思って頼みました。
開いたときの感触がやわらかいです。

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カバーや表紙の装画、本文の挿絵は、友人の福井雅世さんの描きおろし。
もうほれぼれするライン。

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表紙裏に、ハチの絵を入れたのは、高校大学時代の友人なら気が付いてもらえるかしら。私のあだながビー=Bee=ハチという連想モチーフ。雅世さんの描いてくれたこのハチが可愛くて、ここにレイアウト。帯上にちょこっと透けて見える高さ。
帯は、紺をベースに、カバーの紙と同じタント100で。
先生の跋文が飛び上がるほどうれしかったです。

フランス装の表紙ははじめてだったので、パターンを聞いたところ折り返しが深くなるだけで上製本と同じでよいとのこと。
表紙表側は、カバーの花と透けて見えたときに、組み合わさるように、蝶々をレイアウト。
印刷色は帯と同じ特色の紺。

とにかく出来上がりを見るまでは、気が気じゃない!
製本所へ見に行きたい(お手伝いしたい)気持ちでいっぱいでした。
デザインを思い返しては、妙にドキドキする日々を過ごしました。

見返し紙は、見本帳をみながらみずいろ系で迷っていましたが、パソコンで調べていたところ、GAしずく、という紙を見つけました。シンクロニシティきた!
表面には、ガラスについた雨のしずくを思わせるエンボス加工。テキスタイルデザイナー須藤玲子さんのデザイン、とある。これだ! 表紙を開いて最初に雨が出迎える。そんなストーリーが浮かんできます。
青は群青でイメージに合わなかったので、ややグリーン寄りのみずあさぎをセレクト。

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化粧扉は、ぜったい銀色もしくは光る紙に合わせたいと思っていました。この雅世さんのラインが輝く紙の上で、踊るのを見たいと思ったのです。
墨一色刷りで、パール紙のスノーフィールド。パール感は控えめ。
もう少しぎらっとした感じでもよかったか、控えめがちょうどよかったか。
いずれにせよ、ラインがくっきり浮き立ったので結果オーライ。

装丁を構成するいろんな要素の醸し出す、ストーリーを感じさせたい。そしてシンクロニシティ。
ふとしたイメージが徐々につながってきて、一気にわーっとおしよせる感覚。
白いカバーにほんのり透けて見えるモチーフ。帯をとる、カバーをとる、開く、それぞれの段階で違う表情が見える。これは装丁でいつも私が目指しているものです。
自分のためにつくる贅沢。
手に取っていただいたみなさんの本棚でも、愛されますように。
心をこめて。


【書誌情報】
著者:井椎しづく
書名:『慈雨』(アムリタ)

四六判変形・仮フランス装・256頁
ISBN978-4-88208-129-6
定価1,200円+税

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