EYEマーク・音声訳推進協議会についてわかったこと
わたしが初めてそのマークを見たのがいつだったか、何の本だったか、もう記憶がありませんでした。
でも、いつか自分で本を作るときには、それをつけたいと思っていました。
出版物の著作者が,目の不自由な人などに対して,著作物の再利用を許諾するマーク。利用者はマーク付きの出版物について,録音図書・拡大写本・テキスト-データなどへの複製利用が可能となる。(コトバンクより)http://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AF
これは、EYEマークと呼ばれるもので、
1992年に名古屋で開催された全国図書館大会を契機に、東海地方に在住の著作者が中心となって、「EYEマーク・音声訳推進協議会」を結成し、障害者の利用を認めることを著作物に表示しようと「アイマーク」というシンボルマークを作り、他の著作者にも呼びかけた -図書館員選書12 障害者サービス 補訂版より
ネット検索してみたが、このマークをつくった音声訳推進協議会のURLはリンク切れ、電話番号に連絡しても通じず、点字図書館の方にメールで質問したところ、元事務局長さんに問い合わせていただき、以下の回答をいただきました。
2010年1月の著作権法の改正を受け、EYEマークの必要性がなくなったと感じ、EYEマーク・ 音声訳推進協議会は解散しました。そのため、EYEマークは、趣旨にそって自由に使用していただいて構いません
趣旨に沿っていれば、自由に使用できるとのこと、ほっとしました。
ついでに著作権法も少々調べてみました。
2010年(平成21年)の著作権法改正では、第37条第3項に基づく著作物複製に関するガイドラインが作られた。規定上大きく変わったのは次の3点。1)資料を利用できる対象が、「視覚障碍者」から、「視覚障碍者その他視覚による表現の認識に障害のあるもの」に拡大された。
2)録音による複製ができるものは従来点字図書館に限られていたが、改正で、国会図書館、学校図書館、公共図書館、視覚障碍者等のために情報提供を行う法人(NPO法人)も可能になった。
3)以前の複製は「録音」に限られていたが、「当該視覚障碍者が利用するために必要な形式」に複製したり貸し出したりすることができる。※点字本、拡大文字本、布の絵本、立体絵本、テキストデータなどが作られるということ。
【参考文献】 Q&Aで学ぶ図書館の著作権の基礎知識 第三版 黒澤節男 太田出版2012年より(一部を抜粋)
以上のことから、「必要がなくなった」という認識になったようです。
ただ、「著作権法施行令」第二条(視覚障害者等のための複製等が認められる者)の定義にあてはまらない図書館や施設は、文化庁長官の指定を受けなければならないことになります。NPO化してないボランティアサークルの活動も同様に無許諾ではできないですね。
EYEマークがあれば、音訳や点訳が必要な場合、いちいち著作権者に承諾を得る手間がなくなるという点では、まだ存在意義があると思いました。
そこで、実際にEYEマークがついてる本を図書館で探してみました。・・・が。なかなかありません、というかほとんどありません。障碍者関係の書籍はどうか、図書館では・・・とあたりをつけてようやく見つけました。
その本は、冒頭で音声訳推進協議会発足の話を引用した本でした。
図書館員選書-12 障害者サービス 補訂版 日本図書館協会 障害者サービス委員会編著 2003年
許諾文例として、引用します。
視覚障害その他の理由で活字のままでこの本を利用できない人のために、 営利を目的とする場合を除き、「録音図書」「点字図書」「拡大写本」等の政策をすることを1部に限り認めます。 その際は著作権者、または、日本図書館協会までご連絡ください。
ということで、今度わたしがつくる本の奥付には、この許諾文を参考にして文章とEYEマークをつけました。
EYEマークについてネットで検索してもなかなか情報も見つけられなかったので、記事にしました。
以上、ご参考まで。
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コメント
脳活マンさま◇興味を持っていただき、ありがとうございました。実際の運用にはいろいろ規則に当てはまらないいろんなケースがあると思います。現場の人が気持ちよく活用できる規則だといいなと思います。
投稿: しづく | 2014/06/18 17:27
初めて知りました。
何事も、法の制定と解釈や執行の難しさや、矛盾を感じています。法の基本は、憲法に定められた人民の平等ですが最近の国政に、危惧しています。
投稿: 脳活マン | 2014/06/14 08:32