【装丁】 『2013・♂・66』甲斐原梢五行歌集
九州五行歌会の代表をされている、甲斐原さんの歌集を装丁させていただきました。
カバーの画像は、フラクタルCGを浅川様のサイトから。
甲斐原さんが、理系のドクターであること、まえがきの中に、世の中の事象はフラクタル図形とみなせる、というくだりがあること、などから、フラクタルCG画像をあれこれ探していて、イメージに合うものをお借りしました。
のびのびと伸びたラインが触手のようで、どこかニューロンのイメージがあるなと思って気に入りました。
すばらしい素材を提供してくださっている浅川様に感謝です。
この画像をベースに、装丁全体を組み立てました。
最初の章の五行歌は、光と闇から始まります。
そこで黒ベースにしてより画像が引き立つようにデザインしました。
光と影なので、仕上げはPP貼りの光沢で。
この歌集のタイトルは、「2013ねん・おとこ・66さい」と読みます。
ルビとしたら平仮名で入れるのが一般的ですが、著者の希望で漢字ルビ?となっております。
あまり目立たせたくないため、半分紫のグラデーションを入れています。
帯は、草壁主宰の跋文の引用から。特色は、赤みがかった紫に。これは次の表紙との調和も考えています。
表紙は、レザック66、カーフ(仔牛の皮)風のテクスチャーのエンボスペーパーを選びました。
イメージとしては百科事典。甲斐原さんのアカデミックなイメージを象徴させています。
おりしも、66つながりとなったのもおもしろい符合。
紙に表情があるので、洋書のようなローマ字表記にしてみました。
著者名をKAIBARA Kozue、としたのは、著者は男性なのでKozueを先にしない方がいいかなという思いと、この姓だとはっきりわからせるために、大文字表記にしています。
表側がこっくり濃厚なので、見返しは、淡いフェザーワルツ。
化粧扉も、モノトーンで落ち着かせて、これから始まる歌の世界への導入としました。
各章扉はこんな感じ。グレーのトーンがはいっていますね。これは著者の要望かな。
本文組は、水源純さん。2首横並びの構成。歌の長さによって行間も調整した苦心作とのこと。
横並びだと目線が上下にいかなくて、読みやすい気がします。
花ギレとしおりは、黒かなと思ってじっくりみると濃紺。表紙ともカバーとも調和しています。
全体的にダンディな仕上がり。そう、甲斐原さんはとってもダンディなのです。
作品は、よく観察してよく熟考された骨太のうた。
ご両親やとくにお母様の歌は、しんしんと思慕が響きます。
おおげさでない、心の奥から伝わる、子どもたちへの愛情表現も感じます。
ときどき野良猫に説教されたりも。
じっくり味わっていただきたい歌集です。
※年明け以降に流通予定です。
【書誌データ】
著者:甲斐原梢(かいばらこずえ)
書名:2013・♂・66(2013年・男・66歳)
四六判・上製・200ページ
1,200円(税別)
ISBN978-4-88208-126-5
発行日:2013年12月25日
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
最近のコメント