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2013/05/17

【読書ノート】原田マハ 『楽園のカンヴァス』

第25会山本周五郎賞受賞。帯には「それは真っ赤な贋作か、至高の名品か? 手に汗にぎる絵画鑑定ミステリー、若き二人の研究者の鑑定対決。リミットは7日間・・・・!」

ミステリ好き、絵画好きのわたしにとっては魅力的なキャッチ。カバー画はアンリ・ルソーの「夢」。
まさにこの「夢」とそっくりなもう一枚の「夢をみた」という作品の鑑定をめぐるいろんな人間模様と、ルソーへの愛が凝縮された傑作だった。

日本に二枚しかないエル・グレコの一枚を持っている大原美術館の監視員早川織絵が、MoMAのチーフ・キュレーターティム・ブラウンに「夢」を貸し出す交渉の窓口に指名されたところから物語が始まる。
少し前に見てきたばかりのエル・グレコ・・・MoMAはまだ行ったことがないけれどいつか行きたい憧れの美術館・・・。
ストーリーがすすむにつれ、読み手はパリの街角を散策し、若く貧しい画家たちのアトリエをのぞきこんでいるようにひきこまれていく。真実を語るのは誰か、絵画に対する情熱、正義、守るべきもの。
鑑定を依頼されたティムと織絵はさまざまな思惑に巻き込まれながらも、まっすぐに自分の信念の情熱を守り抜く。
読んでいて涙が止まらなくなった。
胸をこみあげるもの、ありったけの情熱を注ぐということ、傑作が生まれる奇跡のようなシュチュエーション。
体が震えた。
ほんとにありがとう。
また生涯忘れられない傑作に出会ってしまった。

人のこんなふうに何かを愛して、夢中になって、どうかなってしまうような状態っていったいなんていったらいいの? 愛なのか、情熱なのか、なにをあてはめても物足りなくて、叫びたい衝動。
たからもの。見えないたからもの。
何か。
胸のあたりからこみあげてくる何か。

とにかく素晴らしい本です! アート、ルソーやピカソに興味がある人はたぶんノックアウトされるでしょう。


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2013/05/08

【おさんぽカメラ】花の芸術村 あしかがフラワーパーク

ゴールデンウィークの最後に、母のリクエストに応えて足利市、あしかがフラワーパークへ行ってきました。
花*花*花*花*花・・・・・。
写真をたくさん撮ったので、アルバムにしました。
こちらのリンクか、サイドバーから見てみてね。

http://shiduku.cocolog-nifty.com/photos/ashikagaflower/index.html

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【装丁】 『俺はこわれちゃったんだよ』 河田日出子著

河田日出子さんの介護の本ができあがった。

Kaigocover

八年間を克明に順を追って書き綴ったつもりです。アルツハイマーというものが、こういうふうに進行してゆくのだと判って頂けましたら幸いです。 (著者まえがきより)

若いころより詩作され、詩集のほか、長編、短編と著作がある河田日出子さんが8年間の在宅介護の最中に記録した、介護日記である。
まずタイトルを決める際、「~介護日記」という案が出されたが、私はご主人から発せられた「俺はこわれちゃったんだよ」を推した。この言葉を聞いたとき、なんて哀しい言葉なんだろうと思った。
壊れてゆく自分が自覚される恐怖、とまどい、最愛の妻にそれを告白しなければならない辛さ、いろんな感情が渦巻くような独白だと感じた。何より、本のタイトルとしてのインパクトが強烈であった。
著者や家族の方の逡巡があったが、このタイトルでいけることになった。

どういう方が手に取ってくださるかと想像すれば、やはり介護にかかわっている方かもしれないと思う。
忙しい中でも読みやすいよう、並製のソフトな製本で、カバーは水濡れや汚れに強いグロスPP加工、本文用紙は薄手のものを選んだ。
本文の編集も、文字を大き目の組みとし、小見出しや月の表示で読みやすさを配慮したものになっている。

こちらの本は、リアルなノンフィクションであったため、イラストやきれいな絵というより、リアルな写真を使いたいと提案した。著者とも相談したうえ、故人が愛用していた万年筆とメガネをお借りして、私が写真を撮った。
ご主人の知的なイメージと、河田さんの文筆家のイメージを重ねてカバーデザインした。
「こわれちゃったんだよ」という長さの文字は、ラフな雰囲気のフォントにした。
フォントを傾けたり、文字通り一部壊そうかとも思ったが、ワイルドになりすぎると河田さんのイメージから離れてしまうかもしれないと、シンプルに抑える。

アルツハイマーという病名がわかったほうがいい、ということで、帯に病名の入った歌を入れた。
また本書のキーワード、在宅介護、五行歌を入れた副題をつけることにした。
歌集ではないので、草壁先生の跋は無いが、帯文を書かれることになった。
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袖(カバー折り返し部分)に、まえがきの一文を抜粋。タイトルの言葉が出た経緯や、著者のメッセージをさっと手にとった時にわかりやすいようにと意図した。
見返しは、マスタード色。黄色より少々渋め。著者の河田さんが黄色がお好きと聞き、この色に。
カバーの重さ(深刻さ)を励ますような明るさを添えられて、私だったらなかなか選べない色だったので、とてもよかったと思った。
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扉と表紙はごくシンプルにまとめた。
Srimg4939Srimg4942

文章の間に入っている五行歌は、ストレートに思いを伝えてくる。
この本を読ませていただくと、介護の大変さ、変わってゆく夫を見る戸惑い切なさはもちろんだが、根底を支え続けるのが家族の愛だとひしひしと感じる。夫を看取るという重責を河田さんはみごとに果たされた。
誰しも真似ができることではない。
でも、在宅介護に迷っている人の道しるべになるだろう。その先をどう進むかは、それぞれが決めればよいと思う。

【書誌データ】
著者:河田日出子
書名: 『俺はこわれちゃったんだよ -五行歌と文章で綴る在宅介護日記』
市井社刊

四六判・並製・276頁
本体1,200円(税別)
発行日 2013年4月28日
ISBN ISBN978-4-88208-122-7


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