【装丁】大友誠三 五行歌集『ナニャトヤラ』
福島県いわき市在住の大友さん、初めての五行歌作品集。
最初タイトルを聞いたときに、呪文みたいな言葉だなーと思った。
これは、大友さんご出身地である、岩手県に伝わる盆踊りで、意味は諸説あるが不明とのこと。
まえがきで、「この歌集はエンディング・ノート」としてこのタイトルを選ばれたと書かれている。
さて、このインパクトあるタイトルをどうレイアウトするか。
カバーに使う絵は、大友さんの描かれたまつぼっくりの水彩画に決まっていた。
絵が左右に広がる構図なのと、ナニャトヤラが縦に並べると意外と長くなってしまうため、横書きにした。
タイトルの字体は、ちょっとくせのある字がいいと思い、『五行歌』で使ってるウェブチャビーに。
370Pの巨体?を支えるのに、どかんとした印象にしてみた。
絵の雰囲気を大切に、温かみのあるクリームの紙を選ぶ。
帯は、中身に大友さんの書を使ってるので、その中から選んだ。しなやかで流麗な字なので、素朴な色紙に墨で載せた。
表紙(カバーをとった本体)は、まつぼっくりの茶からコーディネイト。レザックつむぎ。入れた文字は飾らずごくごくシンプルにする。ここでやりすぎないよう自重。
見返しは、写真では飛んでしまって見えにくいが、フェザーワルツ若草。内側はグリーン系でまとめている。
化粧扉は、今回カラー口絵を14P使ったので、その分扉も豪華四色を使えた。紙もマットなものを選択。大友さんは扉のためにモノクロでまつぼっくりを描いてくださった。カバーと実は違うんです!
書は、落款印を朱で入れたいという要望から、全二色刷り! そこにときどき口絵が入るのだが、くどさがない。
作者の人柄や作品のやさしさのなせる技。
日々の暮らしの中で、生きものや植物に注がれる温かな目、お孫さんへの限りない愛情、深く沈んだもの思う時間、福島への思い。ずっしりとした一冊です。
【書誌データ】
大友誠三著 五行歌集 『ナニャトヤラ』
四六判・上製・370頁、全二色刷り、カラー口絵14頁
定価1,500+税。
ISBN978-4-88208-120-3
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