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2012/09/14

【装丁】酒井映子五行歌集『ひまわりの孤独』

本郷歌会の顔であり、女帝さまとついみんなが呼んでしまう才色兼備な酒井さんの五行歌集。
ついにでた! という感じ。
江戸っ子らしい、しゃきしゃきとした決断力、スケールの大きさが歌にも表れている。
その華やかさから想像できない、意外な生い立ちを知り、酒井さんの深みや厳しさの根っこを知る思いがした。

装丁にあたり、本を一冊お持ちになり、このようなひまわり色と黒でシンプルなイメージ、とおっしゃった。
少ない色数での勝負。帯は鮮やかな緑、とのリクエスト。
お話をうかがってから、いろんなひまわりを探し回る日々で、シルエット、切り絵のような、というイメージが浮かんだ。いくつか提案した中でも、一番すきっとしたものを酒井さんは選ばれた。決断が早いので清々しくお仕事させていただいたことも印象に残っている。

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カバーに使った紙は、NTほそおりGT。格子のエンボスが心地よい手ざわり。帯上、ちょこっと葉がのぞくように。

帯の全容とカバー裏側。
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今回カバーの紙は、色のついた紙を使用した。(裏も黄色い)。気付かれる人は気付くと思うが、バーコードのところの白窓をなくした。これは、カバーが黄色だったからできたこと。コントラストがとれないと、これはできない。とてもすっきりした背面でここはいたく気に入っている。(通常白は、印刷せず、地の白の紙色を残す。特殊な白インキもあることはある)

カバーをとった表紙。いわば長襦袢(笑)。
「黒い紙がいい」というリクエストで、あれこれ黒い紙を探して、マットでかつ少し地模様のようなニュアンスのある紙、エキストラブラック(コットン配合)を使った。文字は黒い紙でも色がでるよう金色インク。
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見返しがちらりと見えるよう撮影した。本体だけでも黄色と黒のコントラスト。少し和のテイストも添えたデザインにしてみた。

本扉。
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最初は黒で、と思っていたが、ちょっときつすぎる、という意見でグレーに。品よくおさまった。黄色との相性もよい。

カバー袖裏。
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今回、見返し紙とカバーを同じ紙にした。統一感がでて、一度これをやってみたかった!
黄色い世界にポイントをと思い、酒井さんの鴉の歌、梢の/鴉/つんと/天を向き/妥協の影もない、からイメージをいただいた。

酒井映子さんの凛とした生きる姿勢を感じながら、デザインを考えたお仕事でした。
9月下旬には本屋さんやネット書店にも並ぶと思います。ぜひぜひ!

【書誌データ】
酒井映子著 『ひまわりの孤独』 市井社(しせいしゃ)刊
四六判・並製・230頁 定価1,260円(税込)
ISBN978-4-88208-119-7 C0092


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コメント

◇映子さま
 おお、自らのおでまし、ありがとうございます!
 歌集上梓おめでとうございます。みなさん待っていた歌集だと思います。

 鮮やかな印象の本になり、喜んでいただけたら、ほんとにうれしいです! 
 たしかに本屋さんに並んだら、また感動一入ですね。9月下旬になると取次に回ると思いますので、大き目の本屋さんなどで見てみてくださいませ~♪

投稿: しづく | 2012/09/15 08:04

しづくさん

すてきな本になりました。
ありがとう!

黄色いカバーをはずすと出てくる黒い表紙、
この衝撃がたまらないです。
金色の文字と囲んだ丸、裏表紙は鏡文字、すばらしい
アイディアですね。
昨日は、本郷で皆さんに、カバーをはずしたところも
ちゃんと見てもらいました。

本屋に並んでいるところを、是非見たいな~

投稿: 映子 | 2012/09/14 21:41

◇波那さん
 こちらこそ。メッセージありがとうございました。
 いろいろ著者の方とも相談しながら、いい形を模索していきます。はっとしてくれたら、狙いどおりです。(笑) みてくれる方が本を開いたとき、「おーっ!」って言わせたいなぁと常日頃からたくらんでいます。
( ̄ー ̄)ニヤリ

投稿: しづく | 2012/09/14 16:56

しづく様
ご無沙汰しております。

素晴らしい歌集のご紹介をありがとうございます。
グレーと黄色の相性がこんなにいいなんて
想いもよらず、
影絵のような向日葵にもはっとしました。

投稿: 波那 | 2012/09/14 14:43

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