特別展「青山杉雨の眼と書」生誕100年記念
チケットをもらったから一緒に行こうと誘われて、東京国立博物館、平成館へ母と出かけてきた。
青山杉雨(さんう)といえば、日本の書の世界では知らない人はいないくらい有名な書家。
わたしが小学生から12年間習っていた書道の先生の師も青山先生だった。
1912-1993に亡くなられる直前まで創作されていたと聞くから、私が習っていた時期とも重なるのだなぁとわかる。そして、書をみれば、お手本にしていたわたしの先生の字にとても似ていて、妙な既視感にとらわれる。
この展示は、
1)青山杉雨の眼~中国書跡・中国絵画
2)青山杉雨の書
3)青山杉雨の素顔
と三部構成になっていて、書の展示ばかりではどうかなとちらっと思っていたのは見事に裏切られる。
青山先生は、中国にわたり書の研究や収集をされたそうで、そのコレクションが素晴らしい。
学びの中で影響を受けながら、自らの書を模索して作り上げて言ってるようすがわかって大変興味深い。
漢字としては、同じものなのに、筆で書くとなんと多くのものを語り始めるのだろう。
先日みた、タイポグラフィ展も少し思いだしていた。ひとつひとつの漢字をいわばデザインして自らの表現としている。
筆の入り方、自由闊達なうねり、どっしりした濃さ、粘り、生きものが這った痕跡のように。
筆がどう動いてこうなるのか、想像してみる。
いずれにしても、精神力、集中力がなければ、こんなふうには書けないだろう。
中国の書をすごいすごいと見た後、2)の青山先生のパートに行くと、さらに素晴らしくてびっくりする。
楷書、禮書、草書、と古典的正統的な腕をみせながら、創作文字のような挑戦、絵画的な表現とその幅の広いこと。
そういえば、うちの先生も鶏の漢字と絵画を合体させたような作品を書いていたのをみたことがあるなーと思いだす。青山先生の影響があったに違いない。
3)は青山先生の印や硯、書斎の再現などがあり、その資料の几帳面な整理の仕方にも感心。そしてなにより文房具のたぐいが美しく、実用と装飾を兼ね備えて並べられているのには舌を巻く。
青山先生が揮毫するVTRがあった。
机の前に立ち、すいすいと筆をあやつる。左手に煙草をはさんでいる。
筆の動かし方を見たかったので、VTRがあったのはよかった。
こんなに素晴らしい展示とは想像していなかったので、とにかく恐れ入りましたです。
9日まで、上野東京国立博物館、平成館。
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