奈良美智:君や僕にちょっと似ているin横浜美術館
横浜美術館の奈良美智展示に行ってきました。東急東横線で渋谷から直通、みなとみらい駅前です。9月23日までとあって、なかなか混んでいましたが、じっくり見てきました。
エントランスを飾るオブジェ「White Ghost」がお出迎え。
あの青森県立美術館のあおもり犬を彷彿とさせるフォルム。でっかい。
最初のお部屋は、ブロンズ像。大きな頭がまるで仏像のように置いてある。「真夜中の巡礼者」は、しろい寝巻のそでをだらーんとたらしてうつむいている。まるで「お化け~」のポーズ。
頭は、ほとんどが少女の顔をしている。
生首のように並んだそれは、どこか死体の一部のようでもある。
アクリル&キャンバスや、紙&色鉛筆の軽いタッチのもの、ちょこっとメッセージの文字が入ってるもの。
デッサンから大きな作品に昇華した後も見られる。
それにしても、少女、少女、少女の形をした人物ばかり、これでもかと繰り返される。
以前のような斜に構えた小憎らしい子どものイメージは、少なくなって、口をひきしめて眼をうるませる少女が多い。なぜ少女という形をとるのかな、と考えたとき、一番自由に感情を外に出せる存在なのかなと思った。
心が、形にでる。
つまりは、少女の形を借りた、心象風景を描いて見せているのではないかと。
ミルク色の湖につかった少女は、どこか津波の被害者を連想させる。
両手に、双葉を持って、うつむく少女も。
感情の爆発と抑制。
この人の作品を、こんなふうに今まで見たことはなかった。
やっぱり、見に来てよかったと思った。
企画展のチケットで常設も見られるので、ちらっと見たら、意外に奈良さんの作品もあって、こちらはフラッシュなしなら写真OK.
いくつか。
よしもとばななさんの『アルゼンチンババア』の原画!
他にも何点もあった。企画展の作品は、2011年、2012年の新作ばかりなので、過去の作品との違いもわかって興味深い。同じようでちょっとずつ違っている。画家もいろんな社会の出来事に無関係ではないのだと思う。
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コメント
◇海のさん
うん、奈良さんの作品は、ひねくれた女の子のイメージだったのが、NHKで雪の綿帽子をかぶる「あおもり犬」を見たときからがらっと変わりました。まるで全く新しい仏像のようだと思った。
実際、あおもり犬に手を合わせる人がたくさんいるらしい。なんだろな、苦痛を代わりにしょってくれてるような。
今までは、あんまりよくわからない、社会批判的な、中二病っぽい(すみません)みたいなカテゴライズだったのが、180度自分の中で変わりました。
奈良さんにとって、東日本大震災も、作風を大きく変えるきっかけになったようですね。だけど、あおもり犬は、青森県立美術館の建築と一体となって作られているので、2007年なんですね。震災の前にあおもり犬はできていた。
今回の作品の中で初めてトライしたというブロンズ像作品(ポスターにもあります)にも、祈りを感じました。あの頭部のボリューム感。仏像とか、お地蔵さんっぽいなと。
最初に記事を書いたときは、死体っぽいって書いたけど、そう、むしろお地蔵さんぽい。ブロンズ像の展示室は、黒いのれんがあって、照明も薄暗かった。供養、とか祈りをより感じました。
最後の部屋の3枚だけ飾られてた作品も、この展示を締めくくるにふさわしいメッセージだなと思いました。
カタログでは、まだ未完成と載っていた作品が、みたら片目にメッセージが追加されていて。
今回、自分が確かめたかったものが、たしかにそこにあったので満足でした。
投稿: しづく | 2012/09/10 19:19
奈良さん、ちょっとかわりましたよね〜
そこが気になってチェックはいれているのですが
なかなか時間と\の都合が…
今回は無理かもしれないけど
次は必ず拝見したいなぁ〜と
しづくさんとこで 拝見したつもりになってみました♪
いつも詳細で簡潔な文章ありがとうございます!
投稿: 海の | 2012/09/09 23:17