【装丁】萌子五行歌集『海と生きる』
萌子さんは石巻在住。そう、あの3・11のとき恐ろしい光景を目の当たりにされた。ご主人の安否がわかったのは、新聞記事だった。萌子さんの歌集のひとつの章は、震災の経験の記録となった。
大変な状況の中でも、歌集を作る決意を守られて、事務所へも顔を見せてくださった。
そして、震災のお話や、石巻の画家の草刈量一氏との出会いなどをお聞きし、装画として使わせていただくことになった。
タイトルの海のイメージそのままに、さわやかな美しい絵を生かした装丁をさせていただいた。
カバーの裏側は、石巻の日和山の桜の絵。震災前のうつくしい石巻の景色。
帯は極力、カバー画を邪魔しないように、透けるシープスキンで。
カバーと本扉が緻密な水彩画なので、表紙はシンプルに。
青の5本のグラデーションのラインで、水平線と、五行歌を表現してみた。
見返しは、明るさと力強さ、萌子さんのはつらつ感を反映した黄色に。
本扉の漁船の絵は、原稿を読んでから新たに草刈氏が描いてくださったものと聞く。
萌子さんの作品と熱意に賛同いただいた草刈氏は、作品をすべて無償提供、全面協力していただいたとのこと。
長野の山で育った萌子さんが、海と生きる覚悟を決めるまで。海が与えてくれる豊かな幸への驚きと感動。のびのびと健やかで気持ちのいい歌とともに、最終章の歌には、胸にせまる真実の記録がある。
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