モーリス・ドニ展
10月1日、損保ジャパン東郷青児美術館の「モーリス・ドニ いのちの輝き、子どものいる風景」を見に行った。
この日は、お客様感謝デーで、無料公開日だったので、ほくほくとつがいで見に行った。
(パンフレットより)
モーリス・ドニという画家は、日本ではあまり知られていないと思う。
19世紀末から20世紀前半に活躍し、パリ郊外にはドニの美術館もある。
当時前衛だった「ナビ派」の主要メンバーで、神話をテーマにした作品で知られていたという。今回の展示は、そのドニが、妻や子どもたちを写真をとるようにたくさんの作品を残していたものに注目している。
印象派、ナビ派の作風を感じる色使いの中、妻や子どもへの愛情がほとばしっている。
画壇の中では、酷評、当時ピカソなどもでてきてキュビズムなどがはやってる中、「古くさい」と言われたそうであるが、ドニは、評価にまどわされることなく、自分の愛しいもの、描きたいものを描き続けた。
4人女の子の後に生まれた長男が、4カ月でなくなったこと。この痛ましい経験、また戦争に行ったことから、彼は自分にとって本当に大切なものは何か、描くべきものは何かがわかったのかもしれない。
授乳をする妻、子どもの世話をする妻、家族全員で初めて歩いた一歩を励ます姿、そのまなざしのやさしさ、愛情に誰しも微笑むだろう。テーマは、家族だが、色遣いのセンスや構図のたしかさは光る。
エキセントリックでなくても、恋多き男でなくても、良き夫、良き父親と芸術家は両立する、とは、今日の日曜美術館の中で司会の森田美由紀さんの言葉。
わざと不良ぶって芸術家きどりの人にこのドニのことを教えてあげたい。
むずかしい絵画だけを素晴らしいと勘違いしている人にも。
そして、愛に生きている人こそ、世の中で一番幸せなんだな、と改めてかみしめたことでした。
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コメント
◇kikkoroさま
そうですね、光の感じとか印象派、ナビ派、宗教画、なんだかいろんなものが混ざり合ってる感じなのです。 ありそうでなさそうな感じ。
芸術家=変わり者みたいな図式が世間一般的だと思うから、ドニの家族愛にはうたれました。
赤ちゃんや子どもの姿、妻の後れ毛など、ほのぼのおすすめです。
投稿: しづく | 2011/10/04 21:16
そうそう、ドニは人物を描いても象徴的な印象が強いんですが
こんなに温かい家族も描いているんですね。
ルノワールの模写とかをよくしてた影響が見られるみたい?
>エキセントリックでなくても、恋多き男でなくても、
>良き夫、良き父親と芸術家は両立する
名の知れた芸術家の中には友達になりたくない人がいっぱいいますけど(笑)
人間(ひと)としてちゃんとしている人がたまにいると、ちょっとほっとしますね。
信仰深さも関係するのかしらねえ? ああ、でもゴッホからして違うか・・・(笑)
「ほっ…♪」としに、見に行ってきたいです。
投稿: kikkoro | 2011/10/03 23:34