日比野克彦個展「ひとはなぜ絵を描くのか」
in 3331 Arts Chiyoda
朝顔の種をくれた。
かわいい、折り紙に入っている。ああ、いいアイディアである。
日比野克彦氏が東京で個展をするのは、8年ぶりという。
そしてまあ、このタイトル。胸がざわざわして、「いかねばならぬいかねばならぬ」と、誰かがささやく。
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------ ネタばれ?してますので、嫌な方は逃げてください ------
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学生時代の頃の作品から、エジプト、ブータン、ラオスへの旅で描いた最新スケッチまでたくさんの作品群。
映像では、森の中で大きな紙を広げてペインティングするところや、遺跡の壁画を見に行って、その前で絵筆を動かす様子が見られて、興味深かった。
マジックを握った手が、くねくねとしたラインをひと筆書きする映像では、もはや脳はなくて、手が別の生きものに見えてくる。
世界の旅では、紙や画材を手にしたことのない、貧しい子どもたちがいる場所で、自分は白い大きな紙をもちこみ、絵を描く。
足元の土を絵具に混ぜて、塗ってみたりする。
壁画も、正確な模写でなく、モチーフを使って、描いた人の気持ちを再構成してみせた。
一番吸い込まれたのは、パリでビザをもらうのにホテルに足止めされた68時間で描いた、30枚の絵。
そこに、その創作の最中に頭をめぐらせた文章が、壁に映し出されていた。
自分がここにいていいのか、意味を見つけるために白い紙を埋めていく。
寝ては描き、描いては寝て、起きてる間は、ずっと考えたり描いたりしている。
そんなところで、そうまでして、
なぜ絵を描くのか。
その理由は、ことばでは教えてくれない。
筆のラインが知っている、と思った。
手が、知ってるのだ、と思った。
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コメント
◇波那さん

いやいや・・・改めて書かれると何かおこがましいような
12月号のお歌は、このインスピレーションからみです☆
朝顔を、この会場ではたくさん育てていて、びよーんと4階?くらいまでひもをはって長くつるを伸ばしていたんです。たぶん種もたくさん採れたのでしょう。
お舟の折り紙がかわいくて、きゅんきゅんでした。
開くとメッセージも書いてあって、「あ、これ真似したい!」って思いました。
投稿: しづく | 2010/11/17 10:55
しづくさん、こんにちは。
とても好いお話を伺いました。。ありがとうございます。
あさがおの種を折り紙に…素敵な演出ですね。
投稿: 波那 | 2010/11/16 15:14