横山裕一展 ネオ漫画の全記録:「わたしは時間を描いている」
武蔵小杉からバスに乗り、川崎市市民ミュージアムへと行ってまいりました。
今日は午後2時から「横山裕一 相談会」(トーク&サイン会)があると知り、行くなら今だ! と家を飛び出す。(昼ごはんの食器洗いは夫に託す)
ばーん! かっこいいパンフ。なんだろうね、この近未来的なへんてこ人物。
ありえない、だけども、ありえる~♪
バスから降りるとみんな走る! そうもうトーク会がはじまる2時になっていたのだ。つられて走って見る。
ロビーのような広いところの階段状のところにたくさん人が座っていて、すり鉢の底?の方に、横山氏らしき人と司会の女性、手話の方がいらした。
相談会、というのは、事前に相談を紙に書いて集めたものを、順次とりあげて回答してくれる。
しかもその回答をカセットテープに録音して、カセットごと質問者へプレゼント!
マイクの横に、カセットレコーダーが・・・。
質問する方は、美大生が多かったかな。
「落ち着かないので困っています」という相談には、「(まだ若いので)落ち着かなくてよいです」とか、
「電話とかが緊張してうまく話せず困る」には、「眠いときとか、二日酔いのときに話すと、どうでもよくなるのでいいでしょう」とか、おもしろくて、悩みがなんだか悩みでなくなってくる魔法。名(迷?)回答に何度も笑いがおきる。
デザイン会社に就職すると、好きなことができなくなる、とか、お金と創作の自由の問題の悩みも当然多くあった。
「自分だったら就職しません」「デザイナーでは好きなことはできません」
「イラストレーターになるより、漫画家になったほうがいい」
「誰かの本の表紙を飾っても、主役にはなれない」
ばっさばっさといきますねー。おもしろかった。お金のためと割り切って仕事をして、残りで好きなことをやるか、それが嫌なら、就職しない。すごくぶれないなーと思った。
1時間以上たっぷり相談会を楽しんだ後は、いよいよ作品展示へ。
※こちらの作品は、「クリエイティブ・コモンズ展示・非営利・改定禁止2.1 日本」ライセンスにてライセンスされています。
「トラベル」から一部分 横山裕一 2006
ラインはすっきりくっきりきれい。ほとんどを定規を使って描いていると聞く。無機質感の演出効果にぴったり。
雨だれの表現のところを撮ったのは、観察力がすごいなーと感心したから。
最初は窓に、ぽつぽつとあたり、だんだん筋になっていく様子。時間の流れが目に見える。
こちらも、トンネルの中とか、西日が射したときに、窓枠が影を落とすと、あーそうなるそうなると思い起こさせる。
ところどころのつぼを押さえたリアルが、不思議な状況をねじふせて独自の世界観へ連れていく。
なにより、白と黒だけの素晴らしい表現に感動した一枚。
先日の、今日マチ子さんの画風は、色で見せる作品だったな、と思いだす。
横山さんは、線。線がすごい。色つきの作品もあって、かなりポップな色遣いでかわいいのだけど、線の強さが印象的だった。
ことばはほとんどない。「ワーワー」とか「ズバー」とか擬音語程度。絵だけでころがっていくストーリーを楽しむ。
ただたばこのパッケージを開けて、ライターに火をつけ、たばこをふかすだけなのに、コマ割りされ、いろんなアングルでクローズアップになったり、ひいたり、あきない。
作品もおもしろかったし、なにより、ご本人が興味深い個性的な方だった。
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