【読書ノート】 屋上キングダム
先日の文学フリマ用に作られた同人誌が、通販で買えるとあって、申し込んでみた。
メール便でさっと届いてふむふむと眺める。
いやすごい! この糸綴じ製本。見開き16枚を二つ折で1丁にして、21穴を青い糸でかがってある! 製本は株式会社JAM、ってなってるけど、手でやったみたい。
後藤グミさんのイラストがポップでかわいい。しかもエッセイや小説のテーマにあったイラストをたくさん書き下ろしている。豪華ー!
タイトルの書き文字もいいねぇ。
ぱらぱらと見ると、誌面もきれいにレイアウト、編集してあるし、すごいすごい。オリジナル広告も楽しい。
最初の編集長の巻頭言に、「屋上キングダム」の誕生秘話?が語られている。写真をみると、ドコモタワーが見える。緑は新宿御苑かなー。
辻一郎さんのエッセイ、「屋上から光を」のイントロで、松陽さんの「ハレルヤ」。
吹奏楽部の女の子が主人公の小説。マウスピースのこととか、基礎練習のこととか、作者にちゃんと経験か知識の裏付けがあることが好ましい。青春! 友情! の王道を迷いなくすすむストーリーに2回読んで2回とも泣いた。
わたしが文学フリマへ行って、立ち読みして、エッセイとこの小説を読み終わったとき「これください」って言うと思った。
読み進めていくと、すべてに「屋上」というキーワードがあって、題詠になっていることに気がつく。そして作品同士もリンクするように、焼きそばパンや、吹奏楽部の練習音がBGMに流れる。
沼尻つた子さんの「銀の鍵」にも泣かされた。情景描写がすごく細かい。
キーマンに言われるままに、新しい鍵を抜き差しする様子はなんだかエロチック。
メガネのイラストで、だーと泣いて終わりだと思ってしまった。ありゃ続いていました。(^^;;
ぱっとしないけどまじめでナイーブな主人公は、せめてお話では報われてほしいと思う。でも、そんなに派手な報われ方じゃなくてもいいかもね。などとぶつぶつ。
いい感じにそれぞれの個性が響いて、最後まで楽しめました。とてもすてきな一冊でした。
誰とはなく、オメデトウ! と言いたい。拍手したい。
なにしろ「屋上」というテーマが実にいい。
屋上ってどこか特別で、よく学校の思い出とつながっていて。
昔から現在まで、屋上であった出来事なんかを思い出した。
けんか、花火、鬼ごっこ。
うちのマンションは屋上は上がれないけど、一番上の階の非常階段からよく花火や☆を観るのです。
こんど行き詰った時は、屋上って手があった! と思いだそう。
いっそ心の中に、屋上を作ろう!
すてきなメッセージをありがとう。
部数限定だそうです。おすすめ。Check it Out!→屋上キングダムブログ。
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コメント
◇春風裕 様
あけましておめでとうございます。
ごぶさたしております。
松浦さん、なんとなく春風さんにぴったりなイメージです。読書は濫読ですが、つねに読んでないと落ち着かない感じです。ブログに紹介するのは、一部ですけど、ほんとによかったーという本をコメントしています。
こちらこそ、いい本があったら教えてくださいね。
よろしくお願いいたします。
投稿: しづく | 2010/01/03 19:06
しづくさん、あけましておめでとうございます。
お久しぶりです。
読書の話題が興味深いですね。
僕も松浦弥太郎さんの『日々の100』読もうと思っているところです。
今年は読書の話をさせていただけたら、嬉しいです。
今年もどうぞよろしくお願いします。
投稿: 春風裕 | 2010/01/03 16:22