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2009/12/30

【読書ノート】 屋上キングダム

先日の文学フリマ用に作られた同人誌が、通販で買えるとあって、申し込んでみた。
メール便でさっと届いてふむふむと眺める。

いやすごい! この糸綴じ製本。見開き16枚を二つ折で1丁にして、21穴を青い糸でかがってある! 製本は株式会社JAM、ってなってるけど、手でやったみたい。Srimg0735

後藤グミさんのイラストがポップでかわいい。しかもエッセイや小説のテーマにあったイラストをたくさん書き下ろしている。豪華ー!
タイトルの書き文字もいいねぇ。
ぱらぱらと見ると、誌面もきれいにレイアウト、編集してあるし、すごいすごい。オリジナル広告も楽しい。

最初の編集長の巻頭言に、「屋上キングダム」の誕生秘話?が語られている。写真をみると、ドコモタワーが見える。緑は新宿御苑かなー。
辻一郎さんのエッセイ、「屋上から光を」のイントロで、松陽さんの「ハレルヤ」。
吹奏楽部の女の子が主人公の小説。マウスピースのこととか、基礎練習のこととか、作者にちゃんと経験か知識の裏付けがあることが好ましい。青春! 友情! の王道を迷いなくすすむストーリーに2回読んで2回とも泣いた。
わたしが文学フリマへ行って、立ち読みして、エッセイとこの小説を読み終わったとき「これください」って言うと思った。

読み進めていくと、すべてに「屋上」というキーワードがあって、題詠になっていることに気がつく。そして作品同士もリンクするように、焼きそばパンや、吹奏楽部の練習音がBGMに流れる。

沼尻つた子さんの「銀の鍵」にも泣かされた。情景描写がすごく細かい。
キーマンに言われるままに、新しい鍵を抜き差しする様子はなんだかエロチック。
メガネのイラストで、だーと泣いて終わりだと思ってしまった。ありゃ続いていました。(^^;;

ぱっとしないけどまじめでナイーブな主人公は、せめてお話では報われてほしいと思う。でも、そんなに派手な報われ方じゃなくてもいいかもね。などとぶつぶつ。

いい感じにそれぞれの個性が響いて、最後まで楽しめました。とてもすてきな一冊でした。
誰とはなく、オメデトウ! と言いたい。拍手したい。

なにしろ「屋上」というテーマが実にいい。
屋上ってどこか特別で、よく学校の思い出とつながっていて。

昔から現在まで、屋上であった出来事なんかを思い出した。
けんか、花火、鬼ごっこ。
うちのマンションは屋上は上がれないけど、一番上の階の非常階段からよく花火や☆を観るのです。
こんど行き詰った時は、屋上って手があった! と思いだそう。
いっそ心の中に、屋上を作ろう!
すてきなメッセージをありがとう。

部数限定だそうです。おすすめ。Check it Out!→屋上キングダムブログ。

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2009/12/26

艶やかな・・・

今日は今年最後のAQ五行歌会でした。
ふー、これでなんとなく仕事納めになったような気がします。
今年も一年お世話になりました。
ありがとうございました。

-*--*--*--*--*--*-

ファインダーから
そっと覗くと
椿は
息をのむ艶やかさで
微笑んできた

-*--*--*--*--*--*-

Srimg0117

どうです?
艶やかに微笑んでるでしょ?

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2009/12/24

【読書ノート】 ハワイの秘法 Zero limits

ホ・オポノポノ、という言葉を知ったのは、よしもとばななさんの日記だった。
それから、本が出ているのを知り読んでみた。

この本は、セルフ・アイ=デンティティー・ホ・オポノポノを実践している、イハレアカラ・ヒューレン氏を取材したジョー・ヴィターリ博士の体験記である。これは何か? というと答えに窮するが、心を平穏に保つための「癒しのハワイアン・メッソド」ということになる。
潜在意識の下でマイナスの記憶に縛られているのを、解放するためにいくつかのノウハウと実践した人の体験談が読める。

自分の心をクリーンに保つことばが4つある。(ただしこれは神格にむかって唱える。神格については割愛。)

I love you.
I'm sorry.
Please forgive me.
Thank you.


これはいますぐにでも、誰にでもできること。
起きてる問題は、すべて自分の中にある。それを清めると問題が解決するという。

わたしは実際、このことばを唱えながら、ある問題に取り組み、予想以上によい結果を得ることができました。
自分が原因だ、と思ったら、すっとわかりやすくなったのです。人を責めることは意味がない。相手を変えるのはむずかしいけれど、自分なら変われるのです。

この4つの言葉のおまじないが、わたしからのクリスマス・プレゼントです。

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2009/12/17

【読書ノート】 日々の100 松浦弥太郎著

青山出版社。

松浦弥太郎さんのお名前を知ったのは、ATARIMAE PROJECTで吉野さんと対談にいらしてくださった時だった。
やわらかい話し方をされるなーと聞いていて、『暮らしの手帳』の編集長と知り驚いた。
そのときのわたしには松浦さんに、暮らしの手帳との接点を見つけることができないでいた。
ぼちぼちと本を読んでみて、どんどん腑に落ちる。そしてよくぞこの方をハントしたなーと感心した。

『日々の100』は、見開きの右ページにエッセイ、左ページに松浦さん愛用の品の写真で構成されている。
装丁もさわやかで、すがすがしい。

愛用のものは、松浦さんの多くの海外旅行(放浪?)からピックアップされたものが多く、選択眼が光る。
添えられたエッセイは、きれいな日本語で読んでいるだけで穏やかな気持ちになれる。
ここで紹介されている、本は探してみるかもしれないが、品物はそうしないだろう。
ここから感じるのは、いかに自分の生活を豊かにするかのヒントであり、これは松浦さんだけのものだからだ。

わたしにはわたしのものがきっとある。

多くの思い出や友だちとの交流から見つけた生活のものは、唯一無二の宝物になるだろう。
そんなものを、わたしも見つけられるといいな、と思った。


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2009/12/13

世界のブックデザイン2008-2009

印刷博物館P&Pギャラリーで「世界のブックデザイン2008-2009」が行われている。
10月からやっていて、行こう行こうと思っていてやっと今日行けた。

毎年3月のライプツィヒ・ブックフェアで公開される「世界で最も美しい本コンクール」の入選図書とともに、このコンクールの上位入賞の常連である日本、ドイツ、オランダ、スイスにフランス、イギリス、中国を加えた7カ国の優れたデザインの書籍およそ240冊をご紹介します。実際に本を手にとってご覧下さい。(印刷博物館展示紹介文より)

はしっこから一冊ずつじっくり手にとってみた。
むいたりひっくり返したりいろいろしかけがあったりする。
色味の組み合わせがうつくしいものは、ほんとにほれぼれ。
うんうん、そうよね、やっぱりこれだよねーと一人心の中で突っ込みながら。

それにしても、ドイツの分を終わった時にふと周りをみるとまだまだたっぷりある。
ありゃ、けっこう時間がかかりますよ、これ。

クロス張り、皮表紙はやっぱり格調高い。本が贅沢なものだった時代のにおいがする。

外国の本って、がんだれ表紙っていって表紙がそのままカバーになって、袖(内側に折り込める)ようになってるのが多かった。けっこう機能的な感じ。
あとかっこよかったのは、チリがない本。チリというのは、ふつう上製本(表紙が厚い)は本文紙よりも大き目になっていて、その差の部分のこと。
箱みたいに、本文も厚い表紙をすぱっとそろえていて、色もついていてかっこいい!

もちろん装丁だけじゃなく、本文の組み方とか、タイポグラフィ、レイアウトなどもコンクールの評価の対象になっている。中の章立てがカラーの色をつかっていたり、写真との組み合わせとか、ああ、やっぱり中身もそろえてデザインできなきゃ、このレベルにはいけないよね、としみじみ思う。

日本のコンクール入賞作品も並んでいた。さすがに凝ってるものが多い。デザイン料、材料費、加工料、かなりかかってるんだろうなぁ・・・。
自分としては、限られた条件の中で最高だと思うものを目指して作りたい。
手にとって本を開いてくれる人が、ほんのりと「ああ、感じいいね」くらいの印象で、よくよく見ると、「なかなか凝ってる」と気が付いてくれる感じを目指しております。

今回見てきた本でも、表面はさりげなく、開いていくと、「お!」とか「おーーーー」があるものが好きでした。
潜在意識に溶け込ませて、いいアウトプットにつながりますように。

◆◇追記◆◇
 各本には、出版社や装丁、出版部数などの書誌データとともに、コンクールの審査員の評が載っていておもしろかった。でっかくてやんちゃな本に、「大きいことはいいことだ」みたいなことが書いてあったり、「装丁と中身があっってないのが残念」とか、本を愛してる人のことばが並んでいた。

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2009/12/06

鼻の骨に穴を開ける

ここ2ヵ月、アレルギー性鼻炎で耳鼻科に通院している。
薬をいろいろ変えて試しているが、なかなかすっきりいかない。
ステロイドの入った薬は、あまり使いたくない。
それが必要か、その前にやってみたいことがある、と先生がおっしゃる。

「鼻に穴を開けてもいい?」

「?!」
よく説明を聞くと、鼻の中の骨に穴をあけて、器具を取り付け、中を洗うのだという。
それを数回やることによって、本来の機能の回復をはかると。
痛いよーといわれつつ、強い薬が避けられるのなら、と「やります」ということに。

出てきたのは、先が千枚通しみたいなの。ガクブル・・・( ̄Д ̄;;
ガーゼをつめて麻酔後、グギガァ、と骨がきしんだ。
イソジン液で洗浄するも、膿はなし。
あなたのは、「スーパーアレルギーだ」といわれる。

そんなところに、「スーパー」をつけられても、うれしくない。

「あとで鼻血がでると思います」といわれ、帰宅。
夕食の支度をし、食べ終わってもとくに出血なし。

ああ、よかったと思って、軽く鼻をかんだとたん、出るわ出るわ。
夜0時を超えても「はなぢがとまらない」。
とりあえず横になってるうちに、寝た。

朝起きると、血の味・・・・。でも周りを汚さずにとまったようだ。
朝、枕元が血だらけだったらどうしようと思っていたけど、その光景は見ずにすんだ。

ああ、でもこれをあと2回やるらしい。
鼻の中を洗うだけで、なぜにこんな処置をするかは謎だ。骨の構造上の位置の問題なのだろうか?

そういえば、鼻にわっかをつけてる部族がいたなーと思いだす。
かれらも出血に苦しむんだろうか。
そう思ったら、なんだか貴重な体験をしたような気がした。

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2009/12/03

【装丁】 『女のうた』 

詩集です。著者は河田日出子さん。市井社刊。

見本が仕上がってきて、ほっとする。心配していた背幅、ぴったりだ!
装丁へのリクエストは、「タイトルは横書きが似合いそうな気がする」「着物の柄がつかいたい」「黄色がすき」という3点。
わたしも着物の柄がとても好きだが、一種類だけを全面にというのはちょっと平凡かなと思い、縁起のいい亀甲模様に切り抜いた、きりばめ細工のイメージを作ってみた。
河田さんの詩と、タイトルの「女のうた」から、「絣」のイメージが浮かんだ。
でも絣だけだと、地味になっちゃう。もっと色味を組み合わせてコントラストを持たせてみた。

素朴な感じを大切にするため、カバー紙は織柄風にみえるような横縞をいれたものを、ニス引き仕上げに。

タイトルのフォントは、筆文字風のやわらかいもの。「うた」がひらがなだったので、しなやかなラインがいい。
バランスを取るため、文字を調整している。

帯文は、詩集の中から引用。最初ふつうに並べたのだけど、やっぱりおもしろくない。
朗読する抑揚のようなものをつけたいと思い、文字の大きさや配置を調整してみた。
帯は白抜き文字の場合、濃いビビッドカラーを選んでしまいがちだが、今回はふわっとしたイメージにしたかったので、文字の可読性を保ちつつ、できるだけ明るめの薄い色を選んだ。
P1000245

いつもながら、無事に産み落とした気分。もう次のゲラ読みが始まっている。

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2009/12/01

ぶらり横浜駅

小学4年生に転校してきて以来、中学が一緒だった友だちと横浜でランチした。
ダーリンが単身赴任中で、土日帰ってくるので、平日しか時間がとれないという。
予定を調整していたら、一度ドタキャンありで、今日になってしまった。

横浜には何年もいってなかったが、クリスマスの飾りがきれいで、東京よりもスペースがゆったりしてる。
駅のちかくの有機野菜を出すレストランで、お食事。
彼女とは、高校も違うし、それ以降接点はなかったが、実家が近かったのでお祭りのときにたまに会ったりしていた。ここ10年くらいはご主人の転勤でバンクーバーに行ってたので会えなかったのだ。

やさしい人だと思う。話し方も考えも、家族思いで。
自分で編んだというかわいいポンチョを着ていた。
何年つきあっても、彼女といてやな思いをしたことがない。一度もけんかしたこともない。
中学生のときは、交換日記をしていて、同じ人を好きになったりとかしたけど、それでもけんかにならなかった。
下のお子さんが帰ってくる前にと、ランチ後はすぐ駅に向かう。

わたしはせっかく横浜まで来たので、ちょっとお店をぶらり。
といっても洋服やバックをみるのでもなく、ソニープラザとVILLAGE VANGUARDへ。
クリスマス用品とちょっとと、文庫本を一冊買う。
ビレバンは商品に添えられたポップがおもしろいのだ。
けっこうじっくり読む。

その買った文庫本もポップに、キャッチというよりは長めの文章に惹かれた。

「・・・・・・・・・ぼくはこの本を一生売り続けたいと思う。」

ちょっと胸が熱くなった。
これは、そそのかされるよ。
買いました。

「はじめて考えるときのように」 野矢茂樹著、植田真絵 PHP文庫

文庫なのにめずらしく装丁が鈴木成一デザイン室だったのにも背中を押される。
文字がね。ブラウンなんですよ。横組みですよ。
ゆっくり読んでみます。

P1000244

※ ビレバンの袋ってお店ごとにデザインが違うのかしら? 

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