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2009/05/06

おくりびと

昨日ギンレイで「おくりびと」を観た。
ギンレイホール最高の収容人数じゃないかと思うほどすごい人。座布団席+立ち見いっぱい。
二本立ての一本目は、「大阪ハムレット」。これもよかった。ほとんどの人がそのまま残って二本目を楽しみに待った。

いまさらわたしが感想を書くまでもないけれど、やっぱりいい映画でした。
主演もっくん(本木雅弘さん)のときどきおおげさな表情とか、妻役の広末涼子さんのちょっと雰囲気を壊してる感じはおいておいても、納棺師というテーマが素晴らしかった。
何度も繰り返される納棺の儀式。
それは、茶道の所作のごとく、能の舞のごとく、たいへんうつくしいものだった。

人の死をあつかう映像作品は、死の今際の際のシーンが描かれることが多い。
最後の息をひきとる瞬間。
家族が泣き崩れる・・・。

納棺は、家族が死をはっきりと認識して、なんとか受け止めて、その人の体とさよならする時だ。
たしかに思い出せば、お葬式の後火葬場へ行き、お棺が火葬炉へ滑るように吸い込まれていくときが本当のお別れのような気がする。その人の肉体との。
その遺体に最後に遺族がしてあげられることが、納棺の時なのだった。

そして先に書いたように、その納棺師の仕事は、たいへん日本的であったのだ。
旅立ちに着る着物を広げ、しゅっと左右にひっぱって布目を整える。
襟を整え、ひもをきちんと縛る。
それは、着物を着る「装道」という言葉を思い出させた。

こわばった指を掌で温め、ほぐしてきれいに合掌させる動作。遺体の肌が露出しないように、くるみながら着替えさせる技術。生前の遺影を参考に、ふくみ綿などいれ、化粧でうつくしく整える。
そのいたわりの動作を、息をのんで見つめる家族。

人の死を商売にする仕事と、偏見を持っていた友達も、妻も、その仕事を目の当たりにしてこの仕事の意味を悟ることになる。
映画を見ている誰もが、本木さんの舞のようなうつくしい動作で、納棺師という仕事を知ったのだった。

本木さんは、この映画の企画から大変尽力されたと聞く。納棺師の方に指導を仰ぎ、「もう納棺師としてやっていける」、とまで言われたほど、努力をされたそうだ。

この映画をみて、多くの人が「わたしも納棺師に納棺してもらいたい」と思ったことだろう。愛する人を送るのに、「納棺師を頼もう」と思ったことだろう。

そして、わたしもいつか、親や夫をおくることがくるのだろう。
そのときにきっという言葉を、考えていた。
そして、それは、生きているうちに、伝えなくてはいけない言葉だ、と思った。

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