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2009/03/29

桜さくらサクラ・2009-さようなら、千鳥ヶ淵-

千代田区三番町に移転した山種美術館が、改築完了で秋に引っ越すそうだ。
千鳥ヶ淵ともお別れ。
毎年この時期に行っていた、最後の桜をテーマにした展示会に行って来た。

こじんまりと50点ほど。
すべて桜を描いた日本画である。
入口に入ってすぐ迎えてくれたのは、まさに「千鳥ヶ淵」石田武、という画家のうつくしい日本画だった。
お濠の水面をバックに、桜が枝を伸ばしている。(上の山種美術館へのリンク先で見られます)
その水面の描写の見事さよ。スーパーリアリズム。写真のように忠実である。
同じ作家の「吉野」も圧巻であった。大正11年生まれの石田氏は、ご存命のようである。
すばらしい。

数は少ないけれど、横山大観、東山魁夷、菱田春草、川合玉堂から加山又造、千住博、といったビッグネームの作品も閲覧できた。

なかでも、気に入ったのは、川合玉堂の「春風春水」。
以前川合玉堂美術館を訪れたことがあるが、まさにそのあたりの多摩川の景色。
岩のかんじ、川、山のようすがそっくりである。
川を中心に、一艘の小舟がワイヤーのようなものをつたって、移動しようとしている。
船頭と、女たちのくつろいだ労働姿。上から見下ろしたようなダイナミックな構図と、春の香りまでするようなみごとな色使いに、ためいきがもれる。

桜を描くのは、たくさんの花、花びらを描かなくてはいけないので、大変根気が必要だな、と思った。
その根気を、見ないで適当な間隔&感覚で、機械的に羅列して描いていると、すぐわかってしまう。
丹念に描写した絵は、たいがい花数が少ない。
少ないけれど、精確だ。
ボタニカルアートのようだ。

日本画と洋画と何が違うのか、わたしには正確にわからないのだが、画材と描き方だろうか。
絵の具は顔彩岩絵の具が中心だと思うが、色のトーンが淡く柔らかいものが多いような気がする。
油絵と違って、一本の線の深刻さはそうとうだ。
見ていても、どきどきする。

こうして花の絵に囲まれているのに、さびしいのはこの千鳥ヶ淵という土地柄なのか、桜という花の特殊性のせいなのか。
桜に魅せられた表現者たちの丹念な仕事が、印象に残った。

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外に出て、靖国神社へ。
観光バスが何台もでている。20日に開花宣言したはずが、ほとんど咲いていない。
遠くから来た方たちは、残念だったろう。
木によって、なんとか咲いているものある。
その木の下には、たくさんのにわかカメラマンが集まる。

その後、ぶらぶら出店をひやかして、九段下から外堀へ向かい、市ヶ谷土手へ。
こちらも木によって少し咲いているが、ほとんどははちきれそうな蕾。
それでも、ブルーシートを広げ、お花見中の集団が何組もいる。

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通りかかった総武線におもわずパチリ。来週末が、お花見ごろになりそうですね。
楽しみです。

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2009/03/24

うそつき、ちくちく

WBCやりましたねー!
感動しましたー!
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先日キモノバザーにて手に入れた、この単衣。
「戦前のものじゃないかしら」とお店の方が言う。
古い。だけど、なんともモダン。
1000円。もちろんシルク。生地としても安いので、即お買い上げ。

家に帰ってしげしげ見ると。
シミあり、一部虫食いあり。とくに上前という致命的な位置に、目立つシミが二か所もあった。
あー、なんでよく見ないで買っちゃうんだよ・・・。

単衣のキモノとして着られるようにするには、手入れ代で1万円以上飛ぶだろう。
あきらめて、何かにできないか考える。

「そうだ、うそつき襦袢にしよう!」と思い立つ。
それで先週の連休からちくちく。

二部式襦袢の襦袢袖を外して、スナップをつける。
本には、7.5cmおきに5個つけると書いてあったが、めんどうで3個に。
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単衣の袖だけはずして、内側にスナップ。
うそつきの出来上がり。
あとは、二部式襦袢の下を作れば完璧なのだが、かなりほどくのに時間がかかる。
いや、ここまでもかなり時間かかっている・・・。
なので、残りは、また時間があるときに。
二部式の白の裾除けはあるので、その組み合わせならいける。

と、紬に合わせてみると・・・。
オーマイガッ!
袖が長いじゃあーりませんか! 54cmもあるよー。
どぼじよう・・・。
上で調整するとしたら、スナップもう一度やり直し??
あうー。
今日はここまでで限界でしゅ。

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2009/03/15

LOUVRE!

国立西洋美術館、「ルーヴル美術館展-17世紀ヨーロッパ絵画」へ行って来た。
混むかなと思って、天気の悪い土曜日の朝一で。チケットを持っていたので、ほとんど並ぶことなく入場。
でも中はすでに混んでいた。

最初の部屋に踏み入れたとたん、「これぞLOUVRE!」のキャッチどおり、おお! っと巨大な貴族の肖像画が迎えてくれた。豪華なティアラ、宝石、ドレス、選ばれた人だけのための肖像画。
いずれも1600年代の作品だというのに、発色も申し分なく、瑞々しく、300年~400年以上も前のものとは信じられない。
いままでの蒐集家や、ルーヴル美術館の管理、世界トップクラスであろう修復士の技の賜物なのだろう。

レンブラントの自画像は、何度もどこかで見ているようで、「本物だー!」と感慨深い。

フェルメールの「レースを編む女」はとても小さな作品。
フェルメールの作品は、世界に30数点しか存在しないがゆえの希少価値なのだろう。
でも、わたしにとっては、そんなに特別すてきな作品とは、思えなかった・・・。

おそらく、他の作品に比べてあまりに小さいこと。絵の具も薄付きで繊細な雰囲気がこの作品の良さとは思うのだが、周りをみると、なんだか弱弱しく感じてしまうのだ。(ごめんなさい)
そのほかの名もきいたことのないような画家たちの渾身の作品の方が、はるかに迫力があったように思う。

たとえば、ピエール・デュピュイ「葡萄の籠」。
目に見えるものをすべて写し取ってやろうという気迫にあふれている。
ものすごい精密なものだった。
女性や、王女の肖像画も、レースの一枚一枚、金の縁取りのカーブ、アクセサリーの輝きなど、実に丁寧に精密に描かれている。驚きの技の連続だ。

後半は宗教的な絵画が多くなってくる。
素晴らしかったのは、「大工ヨセフ」
ろうそくを持った少女幼子キリストと、横でうつむいて仕事をするヨセフの横顔が印象的だった。

当時の教会の様子がわかる、「聖堂の内部」という絵もなんだか写真みたいでおもしろかった。
広い通路を歩く信者や、その周りに描かれた絵などを写し取っている。

最後の方にあった丸天井の壁用であろう、丸い壁画は色味は白地にベージュや灰色のような線描で天使や門やいろんなモチーフが、中心にむかって吸い寄せられるように描かれていた。

とにかくすべてはずれがない感じ。
一枚一枚の仕事の気の遠くなるような丁寧さ。ほとんど執念とさえおもえる職人魂。
自分の欲望のためでなく、なんというか、仕事として、求められて描かれたのではないかと思う。
(さすがに風景画とか静物画は違うのかもしれないが)
なんというか、他の近代の絵となにか違う。

何が違うんだろうと考えていて、たとえば「大きさ」とか、「色味の制限」とかあれこれあったのだが、最後に思い当ったのは、それだった。
素晴らしい仕事だった。

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2009/03/13

マカロンのレシピで作った不思議な甘い焼き菓子

使おうと思って出したハンドミキサーが、うねるだけで刃が回らない。
なんども見直して、もしかして壊れてる? と愕然。

マカロンを作ってみようと思ったのは、材料が比較的シンプルだったから。
卵白を泡立て、メレンゲにし、粉砂糖、アーモンドプードル(アーモンド粉)をいれる。
その一番大事な泡だてが!

しかたなく、手で泡だて器でメレンゲを作ったのだが、なかなかピンとしない。
とりあえずレシピ通り、乾かしてから(ってこの時点で30分おいても乾いてなかった)オーブンで焼く。
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そのまま冷ましているうちに、フィリングにするガナッシュを。
クーベルチュールチョコの残量を全部投入。生クリームを沸騰させ、とかしてブランデーを入れる。
2枚をひと組にするので、1枚にチョコクリームを塗って、2つを重ねる。
が! 皮の部分が、華奢で、力をいれると崩れてしまう。
そーと塗り、壊しては、またそーっと。

とりあえず、家族と誕生日だった夫へ。
自分で試食してみたが、お砂糖がべたべたして、かるめ焼きのような?! 不思議なものだった。
マカロンとはかなり遠い感じな。

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持っていくために詰め合わせたもの。
もはや、何かわからない。
ま、いいかー。

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2009/03/12

「運がいいですね」と言われた時は

いつもお風呂タイムに、j-wave(FMラジオ)を聞いている。
先日ちょっとお風呂が遅くなって、プラトーンが終わりかけていた。

「が!」

しまってしまった。ゲストが幻冬舎の見城徹氏であったー! 
なんたる不覚。聞き逃した

最後のおわりかけのコメントのみ、聴けたのだが、それだけでしびれるぜ。

運がいいですね、ってよく人に言われる。 そのときは、「おかげさまで~」とかなんとかへらへら笑って答える。 でも、腹ん中じゃ、「お前の100倍努力してるんだ」と煮えくりかえってる。 それぐらいがいい。
(うろ覚えでちょっと適当。こんなニュアンスの言葉でした)

わかるーわかるー!
あくまで表面は、穏やかにやり過ごすのさ。(運とかそんなこというやつにはね)
そいでもって、影では地道な努力を続けるしかないのだ。

あともうひとつ。
ここの記事にも同じことが書いてあったけど。
自己嫌悪を持つことが大切と。
自信を持ってぐいぐい仕事をしている印象の見城氏から、意外なことばがもれた。
リンクした記事は古いものだが、ずっとぶれない信条としてある。
自己嫌悪は、自分の悪いところを認識してるってことだ。
悪いところ、いやなところもないまぜにして抱えて責任を果たしていくのが、やっぱりオトナなんだな、と思う。

自己嫌悪にまみれてどろどろになるのは、怖いし、辛いけど、それはなくてはならないと考えさせられた。

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2009/03/08

豆本教室

昨日はデッサン教室、今日は豆本教室。
アートな土日であった。
しかし豆本教室。たのしかったー!

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まずはお道具。比較的そろえやすいものが多い。金属の目打ちと、たたき棒はめずらしい。<写ってないorz

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あらかじめ先生が準備してくれている材料のセットや、綴じ糸、しおり、表紙の布などを選ぶ。
迷う迷う。

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豆和本(和装本)の材料はこんな感じ。花裂のような切れを角布として使う。下綴じの糸はほんものは和紙のこよりを使うそうだが、豆本だとふくらむので、糸で。

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参加した5名+田中栞先生の作品。みなさん縞柄で、びっくり。わたしだけ縞じゃないので、わかりやす!

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洋装本上製。本体は、16ページが一折、二折を一セットにして糸で綴じる。しおり、花裂もつける。
表紙は、和紙で裏打ちしてくれたものを用意してもらった。1mmの板紙を芯にして作る。

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見返しと合体させて出来上がりなのだが、溝のところを糸で縛ってボンドが乾くまで固定しています。
これに重石をのせてしばらく置く。
できてから48時間は、開いちゃいけないそうだ。
このまましばらくお仕置き中?!
開けるのが楽しみ。

このほかに、折り紙でできる本を教えてもらった。超カワイイ。
家に帰ってご飯を食べてから、矢も楯もたまらず千代紙や折り紙を持ちだして、復習がてら作ってみる。
やっぱり忘れているので、教室で作ったひとつは、解体。(左上)
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定規があるので、サイズがわかると思うが、和装本で5cmくらい。
折り紙本は、ほんとにちっちゃい。
メッセージカードにしたり、そのままプレゼントにもいいね。
暇をみて、たくさん作り置きしてみようと思う。

朝10時前から始まって、夕方5時までびっしり盛りだくさんのお教室でしたが、いろんなお話が聞けて楽しかったです。田中栞先生、ありがとうございました。

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2009/03/03

装丁 『嫁』

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本木光子さんの五行歌集『嫁』が出来上がった。
20歳で三世帯六人の大家族へ飛び込み、介護、農業、育児とまさに嫁として生きてきた自叙伝的歌集である。
最初装丁のお話をいただき、本木さんのバックグラウンドを知りたいと、お宅へお邪魔して取材させてもらった。
家を継いでゆく重さ、大きさ、暖かさなどを感じることができた。

草壁先生が、3つのタイトルを選ばれ、その中で作者が選んだのは、『嫁』だった。
嫁。このインパクトのある言葉を聞かされた時、とほうに暮れた。
しかし、本木さんのお歌を何度も読ませていただき、お宅へも伺って、反芻し、まさしくこの生き方は「嫁」であり、嫁の王道をとことん追求した装丁にしようと決心した。

Yomecover

取材したときの写真を加工したり、スケッチしたり、あれこれ迷っているうちに、家紋はどんなものだろうと思い付いた。幸い家紋がうつくしいものだったので、家を背負っているイメージで、大きくあしらってみた。
また、嫁のイメージとして、姉様人形をつかってみたいと思った。

家紋は、ネットで模様をみて、自分でトレースした。姉様人形も、アウトラインをトレースして色つけやデザインは自分で描いてみた。今回、背が力作です!

著者に装丁案を2つ提示したのだが、もう一方は、グリーンから稲わら色のグラデーションに、アクセントの絵をそえたものだった。本木さんがそれを気に入ってくれて、帯に使いたいとおっしゃってくださった。
こうして、墨、特色2色、計3色の豪華な帯が誕生した。
これは、若くお嫁入りした、青い稲穂から熟した実りの稲のイメージを、著者の人生と重ねてみたものだった。

花裂、しおりも黄色。見返しは若葉。とりかかってから、一番時間がかかったけれども、できあがりをみてやっただけの苦労は報われたと思った。
装丁をしづくさんに、とおっしゃっていただけたのも大変うれしかった。
ありがとうございました。

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2009/03/01

2月最初で最後のお着物

毎年2月のAQに大阪の稲田さんがいらしてくれるので、そのときは私も着物を着るようにしている。
1月は2回着たのだが、2月はこの最終日一回だけ。
ツバキ柄のちりめん帯か、梅柄のつけ帯か迷って、軽い紬に合わせ、楽なつけ帯にした。
着つけてから御飯を食べたので、前掛けショットも撮ってみた。
Maekake
帯が半分出てるのと、胸元がカバーできないのは、どうなの? とつっこみつつこぼしやすい膝元はOK。
よしよしと自己満足。
ちなみに写真の下は、白いけどシーツじゃないよ。着つけ用の敷物です。


梅柄の帯に合わせ、テーマは春でコーディネイト。
さし色に、萌黄色のちりめん帯揚げ、鶯色の三分紐と足袋。だいだい色のちりめん羽織。
着物は黒で織り柄の大島紬。羽織も着物も母から譲られたものです。
紬の軽さに「るるるー」と浮かれ気分。
帯も軽くてらくらく。
幸いお天気も晴れて、下駄をはいていきましたとさ。
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おかみと言われたこの貫禄・・・。ちょっとやせないとだめだ~!

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