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2008/08/05

佐々木祈美五行歌集『全部愛だった』

それは膨大な原稿をデータ入力することからはじまった、佐々木祈美(ささき・きみ)さんの五行歌集がとうとうできあがり、見本が届いた。
編集のひさこちゃんの地道な作業の結集。
草壁先生も、選をしながら入力に加わった。
スーツケースにびっしりと残された遺稿たち。

薬ぶくろから小さく切った紙切れがでてきて、細かな字で歌が書いてある。
手帳の両面に、ぎっしり。
ちらしの裏面。
88歳で五行歌をはじめ、亡くなる92歳まで、どれだけ多くの作品を書かれたことだろう。
秋田に生まれ、足利学校に学び、満州、樺太と波乱の人生の中、磨かれた感性。
この生き方のかっこよさや、理知的なさまを感じた時、けっして年寄りくさい装丁はすまい、と誓った。

あの膨大な原稿をみたときから、「祈美さんは、文字の人だ」と感じていた。
ならば、タイポグラフィで勝負しようと思った。
KimicoverKimihyo4

タイトルが歌の一部だったのだが、どうしても歌全部をカバーに載せたくなった。
そこで裏側に、序奏のようなシャドウでいれた。
「愛」は書体も色も変えた。
帯には、祈美さんが「ひびよき日」の表紙を飾った写真を入れた。
この写真を見て知ってる方が多いように思い、その方たちに「おっ」と思ってもらいたくて。
一度やってみたかった、カバーと帯を連動させるデザイン。

KimiinnKimitibira


カバーをとっても、情熱が燃えてるように。でもちょっとかっこよく、悩んだ挙句、深緋を選んだ。
帯と完璧に色を合わせるため、どちらも印刷に。
本扉に、遺稿からみつけた祈美さんの直筆をのせた。
祈美さんが、そこにいらっしゃるような気がした。一度もお会いできなかったのに、なんだか涙が出そうになる。

苦しまないでは、完成できない。
でもいま手にとれば、わたしなりのシンフォニーが鳴ったような気がした。
心より、天国の佐々木祈美さんに捧げます。


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コメント

残暑お見舞い申し上げます。
うちのTVは高校野球とオリンピックとに忙しく、わたしも休みが多い割に、なぜか仕事が山盛りに。。。sad 宿題をやっています・・・。

◇Oosumiさん
 裏側の帯したは、上の歌の続きがグレーのドロップシャドウで続いています。
 ひとつ終えたら、また次が。またもや苦しみ中です。

 宮崎さんすごい追い込まれ方でしたねー。
 追い込まれたがけっぷちで生まれるものがある。
 周りのスタッフも信じて待っていましたね。
 
厳しいけど、ベストをつくしつくせる環境はやはり恵まれているのでしょうか。手描きであれだけ時間をかけられるってふつうできないでしょう。
 あそこまでいく道のりの険しさ、そしてそこに立ち続けることの厳しさをひしひしと感じました。

 自分もここにいたいのなら、あがきつづけるしかないっす。 

投稿: しづく | 2008/08/10 18:06

開会式を横目にちょっとお邪魔です。

はっきりとしたコントラストで、分かり易い綺麗な配色に仕上がりましたね。
ちょっと色彩検定っぽく言うと、アクセント・カラーの赤が締まってます、かな?
個人的には「裏側の帯の下はどうなっているんだろう?」と気になりますが(^^;

インクの乗りとか、紙質の選定などにもよりますよね。
一つの出版物を作り上げるのは、隅から隅まで際限がない悩みどころだと思います。
本当にご苦労様でした。

宮崎駿スペシャル見ましたよ。
限られた時間の中で最善を尽くし切るという感じでしたね。
いつまでに作ると宣言してしまった中で、あがいて、みっともなくても前のめり。
あんなクリエイターになれたらいいなと思います。では。

投稿: Oosumi(みしゅう) | 2008/08/08 21:47

◇かおるさん
 いつもありがとうheart04
 なかなかこれだという確信にいたるまで、うろうろさまようのです。AとBはほんの少ししか違わないのに、Aはよくて、Bはだめなのです。
 むずかしいです・・・。

 昨日、「プロフェッショナル仕事の流儀」で宮崎駿スペシャルを見て、生みの苦しみを目の当たりにして胸の中がまたもやもやです。あれをみて、今日スケッチブックを開いた人は何人もいるんじゃないかと思った。
 どこまで熱を保てるか。
 それはもう人生そのものだね。

投稿: しづく | 2008/08/06 22:59

出来上がったのですね!おめでとう!
う~ん、いい仕上がり。私は好きやね。
すっごく、ストレートに何かが伝わるよ。後ろのシャドウをきかせた歌もいい!深緋も合ってる。流石、しづくさんやね。
「祈美さんは、文字の人だ」というしづくさんの勘が、正しいことを証明されたような本だと思いました。帯にまで字を持ってきたことで若々しい感じもする。
作者も、空の上で、満足されていると思います!

投稿: かおる | 2008/08/06 10:51

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