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2008/01/13

読書ノート 『真鶴』

『真鶴』 川上弘美 文藝春秋 

どこかの書評欄に載っていたので、借りてきて読んでみた。
真鶴というのは、東京から電車で2時間くらいとある地名のこと。
13年前に3歳の娘、百と妻の京(じぶん)を残して失踪した夫、礼がノートに書き付けた文字「真鶴」。
実母と三人暮らしの日常と、不倫相手青茲との関係と、「ついてくるもの」の霊のささやきと。
日常からこの世のものではないものへの境目は、あまりになめらかで自然で、するするとひき込まれる。

文章がきれいで音楽みたい。

別の面からみると、ものすごく救われない魂の痛々しさと、ものすごい喪失感の暗い話かもしれない。
それでも。
これはひとつの愛の姿を描いた、丹念に描いた、愛の小説だとおもった。
哀しくて、計算をもたない、明日をも知れぬ、純愛のおはなしだとおもった。
あたまの中を、呪文のように繰り返す。

まなづる、まなづる、まなづる・・・。

まなづるの海がみたくなる。

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