« 2007年10月 | トップページ | 2007年12月 »

2007/11/28

映画「クワイエットルームへようこそ」

口コミや、ネットのレビューも評判がよさそうなので、見に行ってみたいと思っていた。
特に松尾スズキが好きとかじゃなく、単に興味があるレベルで。

これ、上映している映画館が少ない気が。。。
なんとか時間を作って、歌舞伎町の新宿ジョイシネマへ行ってきました。
レディスデイだったけど、すいてました・・・。
原作は未読。(内容にちょっとだけ触れてるので、ご注意ください)

フリーライターの明日香が目覚めたのが、クワイエットルーム(女子専用閉鎖病棟保護室)だった・・・。
(あらすじはネットで見てね<手抜き)

キャストは豪華&演技もみんなよかった。
だめだめなのに、どこか優しくて憎めない鉄雄(クドカン)、抜群の目力拒食症のミキ(蒼井優)、過食症のこわれっぷりがさすがの西野(大竹しのぶ)。
他のナースのりょうとか、平岩紙とか、脇役も全部よい。
鉄雄と明日香の住む、部屋のインテリアがすてき。

うーん。でもストーリーが・・・・。
相性なのか、率直に言えばいまひとつよくわからなかった。
(松尾スズキをよく理解してないことも原因なんだろう。あくまで、映画の一本としか観てない)

前半はコネタで笑わせられ、後半は、シリアスな事情がだんだんわかってきて怖くなってくる。
場所が場所だけに、笑ってくれるなら、最後まで笑い飛ばしてくれると自分の中で納得できたのだけど・・・。
後半の冷たさを中和させるためだけに、前半の笑いがあるのかなぁ。
心の病に苦しむひとというのは、こんなに明るいのかなー、もっと違ってるんじゃないかなってどうしても思えて、なんか楽しめなかった。

明日香も、一種PTSDだと思うが、なぜ立ち直れたのかよくわからなかった。
内田有紀は(演技者として)すごくがんばっていたと思うけど、主人公の性格が支離滅裂で、お金も住むところもないのに、なんであんなかっこよく別れられるのか不思議。
最後になって、いままでの過去のダーティーな布石をぜんぶひっくり返して、妙に健康にさわやかになっちゃうのはなぜ? 
他の配役の人たちは全部腑に落ちるのに、主人公だけが腑に落ちなかったのでわけわかんないグレーな後味になったんだろう。
最後の救急車で舞い戻る、幸せそうに退院した栗田のループが、未来の明日香の暗示なのだとしたら、まるでホラー映画だ。救いのないループ。今の笑顔がネガに反転する。
これが笑顔のまま受け取れというなら、「わたしはあの人と違う」という冷たさが刺さる。

全然物語とは関係ないけど、箕輪はるか(ハリセンボン)の存在感ってすごいな。
この人は女優になったほうがいいんじゃないか。
上目遣いで、ニッと笑っただけで世界ができる。
すごい。
俵万智としりあがり寿は、どこに出てるかぜんぜんわからなかった。
ま、いいんだけど。

見終わってロビーにでたら、出演者が映画の中で着ていた服や、小物、手紙とか、似顔絵、色紙、銀のローファーなどが展示してあって、得しました。
どこで見ようか迷っていたら、新宿ジョイシネマは、展示が見られていいかもです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007/11/19

読書ノート 『編集者という病い』

このところの装丁の仕事が、あまりに自分を侵食するのが怖くなっていた。
四六時中装丁のことを考えていて、本を読み漁って、本屋をうろついて、夢の中まで考えている。
苦しくてしかたがなかった。
でも、それはあるべき当然の「病い」だったと知る。

『編集者という病い』 見城 徹著 太田出版

幻冬舎社長の見城氏の「編集者という病いを背負った人間の総決算」として出された。
彼の仕事の仕方は壮絶だ。
作品にほれこんだ人物には、キッチリ自分の体重をかける。じっくりとどっぷりと切り結ぶ。 
以前、石原正康氏の仕事の紹介をTVで見たが、その仕事振りは、当然ながら見城氏直伝なのであった。

見城氏は、自分は臆病だと語る。
だからこそ、考えられる、できることの全てをやる。

自分を変えるものしか興味がない

病いを持った宿命は、すすむことしかない。
恐ろしいことだと思う。
そしてくらくらするほど、魅力的だ。
自分にも病いがあるなら、そのままにすすむしかないのだろう。
迷っている暇はない。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2007/11/07

FREE HUGS(フリーハグ)

FREE HUGS(フリーハグ)って知ってますか?
先日たまたまTVを見ていたら、薬丸くんが挑戦していたんです
「FREE HUGS]と書いたプラカードを持って、公園とか道に立って、見知らぬ人と抱き合うこと。
お互いのぬくもりを通して、人の温かさとか励ましを感じるというものらしいのです。

ウキペディアにも載っていて、
オーストラリアで2004年くらいから始まったらしい。

日本でもやってる人がいるみたい。
検索して見つけたのは、けっこう若い女性の映像↓
フリーハグ・キャンペーン

ためらいながら質問する人。
飛びつく人。
ハグの習慣がある外国人の方の方が、多い。
見ているうちに、なんだかこちらも暖かくなる。
ちょっと涙ぐんじゃう。

プラカードを持ってる人が怪しい感じとか、いやらしい感じだったらぜったい抱きつけない。
自分自身がプラカードを持つ気にもなれない。
「FREE HUGS」を掲げている以上、やってくる人によって拒否することはできないもの。
すごい勇気がいると思う。

でも、抱き合うことで与えられるものがあるってことは、映像を見てるとすごくわかる。
一瞬、心を開いて、腕を広げて包みあう姿は、うつくしいと思う。
わたしが孤独な一人暮らしの老人になって、公園で若者が「FREE HUGS」をしていたら、迷いなく抱きつくかもしれない。
なかなかいい運動だと思う。
それだけに、悪用する人が出てこないでね、と強く願ってしまう。
がんばれ! フリー・ハグラー!


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/11/04

奴隷でない人生

先日から、よしもとばななさんの10/23の日記にかいてあったことが、頭をぐるぐるしてる。

そこそこリラックスして、体にいいものを食べて、それなりに運動もし、いつも気持ちよく余裕のあるスケジューリングで、仕事もむりせず、意外なことがなにも起きない…そんなすてきな人生は、肉体と時間の奴隷であると思う。その逆(放蕩、体を無視して忙しくつめこむ、楽しいことのし過ぎ)も同じ意味で奴隷だと思う。

わたしはここのところ、ずっと緊張がとれなくて、疲れていて、もっと余裕のある仕事、余裕のある暮らしがしたいと思っていた。それが「肉体と時間の奴隷」とばっさり書かれていて、が~んと除夜のでっかい鐘のように鳴り響いて痺れている。

ほんとにそうだ。
うまく説明できないけど、わたしの中ですとんと何かが落ちた。
自分の思うことがなんでもスムーズに通ってしまったら、流されまくるだろう。結果自分の欲に縛られることになるのではないか。
思うようにならないから、苦しみ、努力し、別の光を模索して、ときにはそれを手に入れる。
自分から開放される。

忙しいばかりが奴隷と思い込んでいたから、びっくりした。
そしてわたしはいままでも、安寧の奴隷だったことがあるのだ。
いまもすぐそこに。

奴隷でない人生。あこがれだ。
でもそれはぜんぜん楽じゃないだろうが。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/11/02

篠田耐江五行歌集『慈しみの海』

ここ一ヶ月ほど、忙しかった。息をまともに吸ったり吐いたりできてないな、と思ってた。
ようやくそれも一区切り。

わたしの装丁第三作目。
大分の同人、篠田耐江さんの五行歌集『慈しみの海』が完成した。
20071102

提案は、写真をつかったもの2作とご本人の希望の「茜色のグラデーション」と三つだして、やはり最後のグラデーションがいいということになった。
自分の中のイメージを描画するべく、パソコンとタブレットで何枚も描いていた。
いったん入稿したのを、なんだかもう一回差し替えたくなって、また4時間くらい描き直した。
けっきょくもとのがいいということになり、最後までばたばたと苦しみぬいてしまった。

ピカピカしたPP張でなく、マットPPにして落ち着いた感じに仕上がったと思う。
下の方の赤みを感じさせたくて、帯はやや透けるものにした。
見返しは和風のぬのぎぬ、しんくを。
篠田さんのまっすぐな激しさをこめてみた。
さんざん生み苦しんだだけに、愛しくみつめている。

今日は、すみれさんの歌集『花冠』も入稿した。
表紙絵は、すみれさんが水彩で描いたもの。
印刷所にわたすとき、嫁に出す気分だ。あとは校正があるが、ほっとひとごこち。
今週末は、ゆっくりしよう。
デザインの本もゆっくり読もう。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

« 2007年10月 | トップページ | 2007年12月 »