読書ノート 『風が強く吹いている』
三浦しをん著 『風が強く吹いている』
直木賞をとった直後の書き下ろし小説とか。
それにしても、「三浦をしん」でまちがえて検索したらぞろぞろでるでる。「しをん」さんですよ。
みんな同じ間違えするのね。くはっ。
実はここ2日でまだ半分しか読んでないけど、(※昨晩午前2時までかかって完読済み)ちょうど朝世界陸上のマラソンなんか見ちゃったりして、走るための生き物を見て。くわーっと!!
べたな青春小説って分野かもしれないけど、いちいち言葉がいい!
突然箱根駅伝をめざすことになった、ぼろアパートの10人の奮闘。体の変化、心の変化がなめらかに描かれていて、泣ける。
「走」
と呼んだ。走は正座したまま、枕に頭を載せている清瀬にすこし近づいた。
「長距離選手に対する、一番の褒め言葉がなにかわかるか」
「速い、ですか?」
「いいや。『強い』だよ」
一度でも真剣に走ったことがあるなら。
一度でも走りながらきもちいいなーと思ったことがあるなら。
走りじゃなくても、自分の気力、体力、精神力の限界まで戦ったことがあるなら。
揺さぶられて揺さぶられて。
いますぐ外へ走り出したい。
ハイジさんのドテラ自転車、天然双子の笑顔、ムサの敬語に全裸握手、ユキの下半身筋肉、王子のアイドル顔、ニコチャンの骨太、キングにたたかれるテッシュ箱、神童のダブルマスク、藤岡の語り、走(かける)の咆哮。
頭の中を流れてく。
そんな熱い人はきっとこの小説がめちゃくちゃ好きだろう。
そんでもって、この表紙の装丁が極上!
映画のコンテみたい。
映像化したらこんな感じ。いろんなシーンの切り張りが、屏風絵のようにちりばめられて。
雲のかなたには、箱根駅伝のゴールが見える。
タオルを用意して、どうぞ。
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