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2007/08/22

読書ノート『本当はちがうんだ日記』

図書館で本を物色中、返却本を書棚に戻す前のワゴンをチェックした。ここは回転率の高い人気本が多く、本を選ぶ穴場だ。必ずチェックすべし。

穂村弘 『本当はちがうんだ日記』 集英社

タイトルにひかれ、ちらっと立ち読み。とまんなくなってお持ち帰り。
ナイトキャップ本としてぴったり。すなわち、短いコラム、エッセイの連なりであり、重くない。
するする読めて、くすりとさせて、ときどきじんわりする。
かなり書き手が情けない話も多いが、そこで確かめる『本当はちがうんだ日記』。本当は違う、違うとタイトルでエクスキューズしながら、おそらく本当みたいと思わせる話。

よかった短編。

みえないスタンプ
何気ない仕草から、彼女を激怒させ、わけがわからずふられた経験が書かれていた。

もしかすると、あれは「スタンプがたまった」んじゃないか?
世界のどこかにみえないスタンプ帳があって、我々の発言や行動のひとつひとつによって、自分でも気がつかないうちにスタンプが押されてゆく。ひとつふたつ押されても、しばらくはなんの変化もない。だが、予め決められた個数が貯まったところで、スタンプは景品に変るのである。(中略) 色違いの「負」のスタンプもある。こちらはもちろん「負」の景品となる。

おもしろいなぁとおもった。自分の中の良心とか罪悪感みたいなものをスタンプに喩えるなんて。すごくわかりやすいし。
「正」のスタンプは青で、「負」は赤かなぁ。
それとも逆だろうか。
スタンプをためることを気にする人もいれば、まったく集めることに関心がない人もいる。
そこらへんも、すごく喩えがぴったりで気持ちよかった。
「負」の景品は、やっぱりもらいたくないよ。

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