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2007/05/04

読書ノート『チエちゃんと私』 よしもとばなな

このところの休みの間、持ち歩いて読んでいたのが、『チエちゃんと私』 よしもとばなな著 ロッキング・オン社
数日で、3回。部分も含めると5回くらい読み返している。
すごくすごくすき。

親戚のおばさんのイタリア雑貨店で、買い付けの仕事や店員のアルバイトをしながら、マイペースで人生を謳歌していた「私」。
そこへたった一人の身内を亡くし、ひとりになったチエちゃんと同居することになった。チエちゃんと同居して初めて生まれた感情、日々を大切に暮らすこと。本当に大切なものを選び間違えないように、じっと真剣に見つめる純粋さがこのひとにはある。

チエちゃんが秘密を打ち明けられて、ショックを受けて考え込むシーン。

 どうしてだかわからないけど、自分がみじめに思えた。  ・・・・・いや、違う。  そこまで考えてみて、ふと何かが頭の中で警告のランプをともした。 (中略)  感情の勢いに負けてもう少しで間違えるところだったが、ふに落ちるところにたどりついたので、私はほっとした。  生きていると毎日は真剣白刃取りのようで、スリル満点だ。  ひとつ間違えると大変なことになる。  私は多分はずれていない、いちばん大事なことはその部分だ、そう結論した。

後半は、私ことカオリさんの恋物語になる。
レストランで食事して、分かれがたいタクシー待ちの時間、篠田さんに抱きしめられるシーン。
キューッと胸が鳴る。
思わず、「ああ、もう一度恋したいなぁ」って思っちゃうほど。

『海のふた』のはじめちゃんも、ちょっとチエちゃんに似てるところがあって、『海のふた』もすごく好きだったけど、『チエちゃんと私』もすごくよかった。
共通しているのは、今を大切に全力で生きるってところだ。
そしてどこか子どものような純粋さ。愛するものへの深い愛情と、それをいつでも手放せる覚悟。
自分と価値観の違うものへの考え方。
全部が真似できるものではないんだけれども、光が射す行方を見せてくれる。
何度も何度も確かめたいと思わせてくれる。
大切なものを大切に。

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