新聞をみていたら、東京駅の大丸デパートで「きもの大市」(14日(月)まで8階催事場)なるものをやっている広告を見つけた。
RECYCLE & ANTIQUE KIMONO とあり、目白のLUNCOが出店しているらしい。
わくわく。
お天気もいいし、下駄のすげ替え実演や、帯締めの実演などもあるという。
キモノを着て出かける。
コーデは、前回と同じで、緑白帯締めバージョン。
夏物には夏物を小物を合わせる、と本には書いてあるので、夏物の帯締めと帯揚げを見ようかなと思って行った。
LUNCOのお店は、はぎれや小物がいっぱいあった。
デッドストックものとやらの帯締めをみる。
油色みたいな、ベージュがかった白の織りがめずらしいものをみつけ、もうひとつ、夏用レース青緑系を手にする。
お店の人が話しかけてきたので、夏の小物うんぬんの話をすると、お茶会とか踊りなどは気にするけど、おでかけではもっと自由でよい、とのこと。「いましている帯締めでもだいじょうぶよ」と励まされる。
それを聞いて、完全夏物はやめて、油色の織りの凝った帯締めを買うことにした。
ついでに、白っぽい帯揚げと思っていたら、水玉がキュートなのに心を奪われ、それもお買い上げ。


その後ふらふらして、草履やさんのところで鼻緒を見つけた。
職人さんがいて、その場ですげて調整してくれるという。
今日履いて行った鎌倉彫の下駄は、鼻緒が細くて変えたいと思っていたので、真剣にみる。みているうちに、鼻緒単品がけっこうお高いこと。(いまは中国製の下駄が1000円くらいで買える)それでも、職人さんに目の前でやってもらう誘惑に勝てず、男物の鼻緒を選んですげてもらうことにする。
こんな下駄、履いてる人いないだろう。えへへー。
男物の鼻緒だったので、そのままつけるには長かった。先をほどいてすこし切り詰めてからつけることになる。
下駄の穴も小さくて、すこし広げる。
ひとつひとつの作業をじーとみながら、親方?といろいろ話した。
「草履よりも正直下駄のほうが、むずかしいんですよ」
「津軽塗りなんていう下駄があるでしょう? あれなんかね、割ったら大変だからね」
「下駄買うときはね、裏をみるといいよ。裏のひもの処理なんかがきちんとしてるってことは、きちんとした仕事ってことだから」
おもしろいねー。けっこうおしゃべりなのである。あいづちを打ってるといろんなことを教えてくれる。
たのしいな。
何回かはいてみて、最後の微調整をしてもらう。かかとのゴムも交換。
すげ代は鼻緒代込み。おしゃべり+うんちく込み。
けっこういいお金の使い方だと満足。
つぎに、帯締めを大きな機のようなもので織り上げてる職人さんの様子を見学。
日本の伝統色に染め上げられた帯締めが、色の系列でうつくしく並べられている。平田組と書いてある。
この職人さんの織ったものらしい。
かけてあった帯締めをすいっと触るとその感触におどろく。
「はっ」とした様子に気づいたのか、もくもくと作業していた親方?が、そばにきて話し出した。
「それは糸が違うんですよ」
「群馬シルクっていってね、この糸束をさわってみてください」と、紫の糸束を差し出す。
握ると、なんともしっとりとキュンとした感触。「すごい」
「この織りは、昔の殿様しかできなかったものなんです」
「帯締めってどうやってしまってます?」とか。
するするいろんな話をおもしろく聞く。
正解は、二つ折。四つ折にしてる、と言うと、締めた真ん中のとなりに、折じわがでるからすぐわかると言う。
「絹は、形をおぼえるからね」
親方は染めるときに、結んだときどう色がでるか計算して染めるのだそうだ。
結んでみると、違う色目がはんなりとハーモニーするようになっている。
わたしの帯をみて、「こんな色が合うと思うな」と、うすいクリームオレンジの色をもってきて、淡いコーデが誕生。上品でやわらかい印象になる。
「わたしもずっと絵を描いてたからね」
「高いけどね、十年くらいはもつよ」
「一ヶ月5~6本しか織れないんだ。機械織りだと、45分で1本できちゃう」とも。
一ヶ月6本だと、一本3万円でも材料費を考えてたら、くってけない。
なかなか厳しいのである。
ずいぶん長い立ち話をして、けっきょくそこでは何も買わなかったんだけど、着物を着ていったおかげだなと思った。職人さん、がんばってこれからもいい仕事をしてくださいね! と心のなかでエールを送った。
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