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2006/09/10

国際啄木学会 連続講演聴講メモ

せっかく午後からの 連続講演「歌人 石川啄木」(13時30分〜16時00分)も全部聞いたので、覚書メモなどちらっと紹介。各パート30分
学会ってどんな感じなのかとどきどきしていったが、そう堅苦しくなく、場所も大学の階段教室って感じなので気楽に聞けた。司会の望月(岩手大)教授が、意外に熱い司会ぶりで、豪華なゲストを呼べたことを喜び、今野さんのファンだと熱く語り、とてもきさくで、短歌への愛情を持った方だったので、いいなと思った。

1)高 淑玲氏(台湾景文技術学院副教授) 「台湾における啄木の伝承」
 台湾からいらした高博士は、全て流暢な日本語で講演された。
 啄木、日本政府、台湾の領地管理、領地の日本語教育とわかりやすい年表の資料が配られた。
 台湾の短歌会では、啄木や牧水を手本にしてることや、啄木が生きていれば人道的な愛を台湾に向けたのではないかという考察など語られた。
 単身アウェイに乗り込んで(?)、外国語で講演し、友好的な中にも、台湾の人たちの心理や立場をやんわりと訴えるその精神力を見せてくれた。

2)今野寿美 氏(歌人) 「啄木の責任」
 わたしの前のほうに座っているさらさらおかっぱの髪が美しい方はどなただろう、と眺めていたその方だった。
 『一握の砂』より、8首ひいたプリント。啄木の作品は、文語なのに親しみやすく読みやすい特徴があると述べ、表現の発想が口語、「口語発想の文語文体」であると位置づけた。
 啄木の作品例からそれらを解き明かしていき、啄木が文語の規制緩和の一躍を担ったようすがわかった。
 草壁先生が、啄木だったら五行歌をすぐ作っただろうとおっしゃってるが、それを裏付けるような内容だった。

3)木股知史 氏(甲南大学教授) 「<刹那>をとらえる啄木短歌」
 啄木短歌の独自性として、折口信夫の
 

彼は平凡として見逃され勝ちの心の微動を捉へて、抒情詩の上に一領域を拓いたのであった

 をひいて、心のある瞬間を捉え、何気ない日常に着地させることで新風を成立させたと述べた。
 その他キーワード:意識が記憶のフィルムに強烈な光をあてる→素材が提示される中、意識がはっきり表れている
 短歌滅亡論、へなぶり、緊張と緩和、時代批判・・・etc。

4)三枝昂之氏(歌人) 「暇ナ時」を読み直す
 啄木は、どうしても見つけられない心の置き場を掬い上げている。
 普遍的な主題がうまくいくには、オーソドックスの中にきらっと勝負どころを入れる。
 昭和41年秋に転機がある。環境の変化。
 むずかしい普遍的なテーマに説得力を与えた。

・・・以上聴講メモでした。

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