« 2006年3月 | トップページ | 2006年5月 »

2006/04/30

読書ノート『High and dry(はつ恋)』

連休だが、家族の動きに合わせて動く通常の土日と変わらない。
図書館で、たっぷり本を借りてくる。

『High and dry(はつ恋)』 よしもとばなな著を読了。

「High and dry」って、船が岸に乗り上げてしまうことから、何かに行き詰ってるとか、困った様子を表すことばらしい。
主人公夕子さんは、14歳の中学生で、29歳の絵の先生をしてるアーチスト、キュウくんに恋をする。
年齢を超えた二人の絆とか、お互いの母親の存在とか、すっくとしていていい。
心の中で祈ってたり、感じていることをこんなふうに伝え合える関係を持てること。
夕子さんのお母さんは、他人と思えない。
自分の娘が、何かに迷ったとき、きっぱりとわたしの考えを話せたらいいなと思う。
いや、話さなければいけない。

ばななさんの本は、ずっと継続的に読んでいる。
お子さんが生まれたこともこの本の中に流れている考え方に、反映されているような気がする。
以前の作品からすると、どんどん澄み渡って、的がしぼれて、うつくしいラインがくっきりと描かれている。

ところでこの本の装丁というか、イラストはめちゃくちゃカラフルで、まんがチックだ。
この主人公のかわいらしい迷える魂を、きらきらのポップさで、祝福したかったのかな、と思った。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/04/26

僕と君の全てをロックンロールと呼べ~サンボマスター3rdアルバム

先日発売されたサンボマスターの3rdアルバム、『僕と君の全てをロックンロールと呼べ』を買った。
ライナーノーツは、2ndと同じく、音楽ライターの北沢夏音さん。
この人のライナーは、サンボマスターへの、彼らの音楽への狂おしい情熱に満ちていて心をうつ。

絶望と欲望の泥濘にまみれて、それでも生きることを選ぶ

サンボマスターの魅力は、そのがむしゃらさだ。
おかしいほどの熱のなかで、だんだんものすごい歓喜へと変わっていく奇跡。
一見みっともないもののなかから、激しく光を放つ美しさ。

そんなものをずっと考えている。
どうしてこんなに惹かれるんだろうと。
それはひとつには「美しいものは美しくてあたりまえ」で、アドバンテージのある存在があって。
自分の立ち位置や、現在の社会の取り巻く環境や、起きている事件や問題の不透明感があって。
この時代によろよろと、でもどかーんと叫びだした彼らに、救いを求めるのは自然なことなのかもしれない。

あまりに息せき切って走り抜けるから、心配になるよ。
あせらないで。
どこまでいけるか心配になるよ。
でもいいんだね。
君をみとどけたいんだ。
君を信じたいんだ。

サンボマスターに捧ぐ。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006/04/24

コスプレーヤーの集う場所

昨日は家族で後楽園へボーリングへ行った。
その後お買い物をするために、ラクーアへ移動。
ラクーアの前にあるちょっとした広場の前を通ったのだが、コスプレの人がすごい密度でいるのだ。
主にアニメキャラの実写版みたいな感じ。

ダンボール製?の太刀を持ってる人もいる。
そんでもって、彼女もしくは彼らは、お互いに写真を撮り合っているのだ。
おなじ路線の人どおしだと、「一緒に写真とらせてくださーい♪」みたいなのりの交流も生まれている。
髪の色もピンク、みどり、ブルー、銀色と華やかで、やたら長い。かつらだろうか・・・?

わたしはそんなにアニメ系にくわしくないのでどれがどれ? とはわからないのだが、猫系?、侍系?、魔女系?みたいな感じに分かれている。
さすがに、ハガレン(鋼の錬金術師)のロイと中尉殿と、エンヴィはわかった!
(とくにエンヴィの髪型にけっこう感動・・・そっくり)

とにかく衣装が凝っていて、忠実に再現されている。
「これって、買うのかなー? それとも作ってる?」

でもなんだかみんな楽しそうだった。
犯罪に走るよりよっぽどよい。
かれらは、コスチュームをまとうことで、別人格に変身している。
現実からの飛躍か逃避か。

いずれにせよ、これもひとつの表現なんだろう。
明日へ生きる力となってるのだろう。

ラクーアの入り口の階段のところで、張り紙に気がつく。

「コスプレーヤーの方は、ここから先の立ち入りをご遠慮願います」

うーむ。なるほど。お店にいるとちょっとぎょっとするからか?
それにしても、「ヤー」er形がついて、こんな風に使うんだ、ということに感心。
「コスプレーヤー」「プレーヤー」うーむ。

しかし、後楽園という場所は、コスプレした人たちにとっても似合う場所だ。
遊園地という場プラス、昔からヒーローもののなんとかレンジャーのショーをやっていた背景からコスプレ免疫度は高いような気がする。
彼らはそのにおい?をちゃんとわかっていて、集っているんだろう。
昨日はとくに多かったけど、だいたいいつも数人はここで見かける。
ご興味のある方は、行ってみてください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/04/15

生田散策

ずっと行ってみたいと思っていた、川崎の岡本太郎美術館へ行ってきた。
この美術館は、川崎市生田緑地内にある。
最初は、山へハイキングに行く予定だったのだが、気温が低くあきらめた。
夫と二人で向ヶ丘遊園駅から歩いていく。

駅前の喧騒をすぎると、大きな樹がこんもりしている場所へつく。
歩いていると、「コロコロコロ、コロコロコロ」とかわいい音がする。
なにかな? と考えていると、「カエル?」と気がつく。
水が見えないが、菖蒲園のようなところから聞こえてくるのだ。
思いがけずWelcomeメッセージをもらったようでうれしくなった。

Tarocup_1

お昼ちかくだったので、美術館横のカフェでランチ。
市立のせいか、お値段もリーズナブル。サンドイッチもおいしかった。
たっぷりと緑に覆われた中に建つ美術館は、とてもうつくしかった。

絵画、オブジェ、映像、写真などを見て回る。
鮮やかな色彩、原色の力、うねるようなライン、放射状にのびていく構図。
いかにも岡本太郎のエネルギーがあふれた作品群だ。
土曜日だが、すいていてゆったり見られたのもよかった。

Hahanotou_1

屋外にある「母の塔」を見て、おもわず笑いがこみあげてきた。
もう笑っちゃうほど、大きいのだ。
樹の根っこのような形で、しっかりとふんばって、のびやかに空へひろがっている。
何か嫌なことがあったら、この塔を思い出そうとおもった。

Minkaen_1

その後、緑地内の日本民家園など見て回る。
途中、うつくしい青い羽のかわせみをみた。じっと見ていると、池にはいってお魚をハンティングしていた。
かなり感動。
山つつじ、紫木蓮、梅?など桜はなくても、山の樹の花がきれいだった。
民家園の中は、山道でけっこう勾配があり、足が疲れた。
民家園も美術館も、その建物だけでなく、まわりを囲む山の景観がよりいっそう場の雰囲気を作り出しているとおもった。緑の中で、楽しい一日を過ごせた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/04/14

桜の若葉を見ながら

今日会社帰りに外堀通りをとおったら、桜が若葉に変わっていた。
それを見ていたら、すみれさんの「お姫様から若侍」に変身する五行歌がふと浮かんでうれしくなった。
「そうだそうだ、これだわ」と。

歌が読んだときに記憶のどこかに沈んでいって、時間がたってからある感覚で呼び起こされることがある。
そういうふうに思い出せるウタって、やっぱりいい歌だなーと思う。
作られて、発表されて、読まれて、おわりじゃなくて。
何度でもめぐりあって、思い出されて、じーんと響かせるような=憧れのウタってことかな。

なんでわたしは、いまうれしくなったんだろう。

感嘆+憧れ+ちょっぴりうらやましい気持ち+希望=にっこり。
桜の若葉をながめながら、あれこれと思いながらお家へ帰った。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/04/09

追悼 絵門ゆう子さん

8日(土)の朝日新聞朝刊を読んでいて、はっと眼に入ったコラム。
「絵門さん、旅立ちの日」

 まさか、と読み進めて、7日に絵門さんの葬儀が東京都中央区の聖路加国際病院の礼拝堂で行われたと知る。
 絵門さんのプロフィールや、活動は、こちらのサイトを参照してください。
 絵門ゆう子のメッセージーゆっくり生きよう

 絵門さんは、元NHKアナウンサー。2003年の本の出版でがんになったことを知った。
 その後、骨にまでがんが転移している状態にもかかわらず、朗読会や講演会などがん患者の生き方や環境を支える運動を精力的にこなされてきた。
 朝日新聞東京版に、コラムがあって、打ちひしがれそうになる体を心を、全力で燃やし続けた。こんなに大変な体なのに、どうして? という思いとこんなに大変だからなんだという重たい気持ちで見つめていた。

 3月30日の「がんとゆっくり日記」を読むと、心の奥に秘めていたものを吐き出そうとしているように見えた。つづく、はずのものが、さいごになって終わっている。
 きっと不安だったし、怖かったし、わーわーと泣き叫びたかったんじゃないか。でも周りの期待に言えない本音もあったんじゃないか。その本音を吐き出させてあげたかった。
 たとえば、ウタで。
 でもそんなこといっても、絵門さんは、すべてを自分で選んだんだ。

 絵門さんの訃報は、「ああ、なんてこと」と「やっぱりそうだったのか」とが同居する。でもあまりに見事で、泣きながら拍手しよう。
 ほんとにこんな見事な幕の引き方。絵門さん、ゆっくりおやすみなさい。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2006年3月 | トップページ | 2006年5月 »