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2005/03/16

時計やのおじいさんの話

前回、お気に入りの店に登場した、時計やのおじいさんの店に、時計を持っていった。
仕事帰りに寄ると、白衣のおじいさんが本を読みながら、店番をしていた。(おお、ラッキー♪)

「すみません、時計の電池を入れてもらえますか?」と時計を差し出すと、
「はいはい、あ、そこにお掛け下さい」と椅子をすすめられ、さっと、奥に入っていく。(まだおぼえてもらえてないな・・・)

(しばし待つ)

ステンドグラスの扉は、重そうで、向こう側が見えない。
前回来た時は、作業場が見えたのだが、いつのまにか、ビニールのプチプチのようなもので覆われている。
(しかし、プチプチかよ・・・。せめてレースのカーテンはないのか?)

ギーと扉を開けてでてきたおじいさんは、おでこに、『三つ目がとおる』の写楽くんみたいに一眼鏡を貼り付けている。
(こ・・・これはどうやってくっついてるのか?)
よくよく見ると、細い針金がついていて、首からつながってるらしい。

「この時計の電池は小さいんだねぇ」
おじいさんがにこにこしながら話しかける。
「え? そうなんですか?」

「ふつうより、すごく小さいから。どれくらい電池持ちますか?」と聞く。
この時計はお気に入りで、7年以上使っている。一回オーバーホールにも出している。
それでも、時計の電池の小ささを指摘されたのは初めてだ。
「1年は持つと思います。」

時計を受け取り、お金を払う。
おじいさんは、また奥へ消える。

なんとなく立ち去りがたく、ぼんやり立ってると、おじいさんは、トレーにわたしの時計の電池と、ふつうのと2つ載せて見せてくれた。
「ほらね。ふつうは、5mmくらいで、こっちは3mmくらいでしょ。こっち(普通のを指差して)だと2年くらい持つよ」
「!」

「時計によっては、裏蓋と同じくらい大きなものもありますよ。それだと5年くらいもつ」
「今度時計を買うときは、電池の大きいのにするといいですよ」
たまらず、つっこむ。
「いや、でも見てもわからないじゃないですか!」苦笑しながら言うと、
「それなら、店員さんに聞いてみたら?」とまで言う。
(いや、店員さんもそんなことたぶん知らない、と思ったが、それは言えずにちょっと笑ってごまかす。そんなふうに商売っ気がないから、ビニールのプチプチなんですよ・・・。でもわたしはそんなあなたがとても好きなんですけどね。)と心の中でつぶやく。

「また止まったら、持ってきますから」(おじいさんに会いにね♪)
とペコリとあいさつして、店を後にした。

  ◆  ◆  ◆

(おまけ)
店先にかいてあったのは、「時計修理1級技師」という文字だった。

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