歌に向き合う
歌を「詠む」ではなく、「読む」ことについて、じっくり考えをまとめてみたいとずっと思っていた。
作歌の動機はさまざまにあるだろうが、一首の歌に向き合うとき、それは「今からこの作者の思いにふれるのだ」と、わたしは背筋を伸ばして、気持ちを平らかにして読みたいと思う。
気持ちを平らかにする、というのは、歌が語ってくることに静かに集中して耳を傾けたいからだ。自分の日常からは一歩遠のいている状態だ。
この言葉、リズム、表現によって、作者がいったい何を訴えているのか、何を伝えようとしているのか。そしてそれに対して自分はどう感じるのか。過去の経験や体験、知識、おそらくそういうものを総動員して読み取ろうと試みる。
最初のこの姿勢は、どんな歌であろうと変わらない。読む前はわからないからだ。一読して初めて、それがどういう歌なのか、タイプとしてはどの感じなのか自然と分かれる。
簡単にいえば、「裏(奥)がありそうか?」 それともないか。
素直に読める歌は、そのまま味わいたい。くすっ。あはは。ねぇ、これみてごらん。うーむ。(泣)。カンドー!
ひっかかる歌、解釈が難しい歌は、「奥がありそう」であり、読み取りセンサーの感度を高めて、何度か読んでみる。自分がなぜ気になるのか、他の解釈はないか、暗喩の可能性など、いろんな試行錯誤をする。
ストーリーが見えてきたら、歌会であればコメントを発表するし、ネットの掲示板であれば、(例えば柚月さんのまな板のような)そちらにまとめて書くこともある。
いずれにせよ、1つの歌に向き合うとき、自分の持ってる解釈力の全てを出し切りたいと思う。もちろんいろんな解釈があっていいわけで、他の人の解釈も聞いたりして自分の限界が見えてくる。限界がわかると、こんどはそれを壊せるようになるだろう。
歌を読むことは、心を動かされ、励まされるだけじゃない。いろんなことを教えられる。だからこそ、読むときは真摯に真剣でありたいと思う。
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コメント
◆純ちゃん
わーい! 純ちゃんは共感してくれると思っていましたわん。
>ほかごとは、「真面目に」ばかりではあまりうまくいかないことが多いけれど、
このあたりもうんうん、さすがです。
前回の安部さんのお歌、まな板の純ちゃんのコメントにも鋭いなーと思いました。たしかによくよく真意をさらっていくと、「嘘」はどこか「保身」と結びついています。そこをずぱっと見抜いてみせてくれた!
わたしはそこまでたどり着いた読みをしてなかったなーと思いました。
ほら、ひろがる、ひろがる。(^-^)
純ちゃんの「ヨム」のコーナーがはじまったとき、たしか会話したよね。今は時間がなくても、すぐチャンスは来ると思います。
それまで、熟成させるのもいいかも。楽しみにしてます♪
投稿: しづく | 2004/12/11 09:28
>1つの歌に向き合うとき、自分の持ってる解釈力の全てを出し切りたいと思う。
めちゃ、共感!同感! と一言置きたくて。(*^_^*)
私はこの時間がもっとも「真面目な自分」だと思います。
ほかごとは、「真面目に」ばかりではあまりうまくいかないことが多いけれど、
こればっかりは、ええ、ただただ、真面目にいくことが何よりのような気がしています。
また、私もこのこと(読む)についていちど考えを纏めたいと日々思っております。
いつか、いつか。(っていつだよ?!)
では、突然失礼致しました。
投稿: 純 | 2004/12/11 00:11
◆柚月どの
(あれ?朝コメント書いたのに、入ってないよ?)
>そしてそれって相乗効果があるんじゃないか、と密かに期待もしているんだけど
これは大いにあると思いますよ!
他の方の歌集を読んで創作意欲がわくこともあるし。(逆もあるけど)
幅が出る分、いろいろ試したくなるし。
まだまだ若いんだし~!
で、このテンプレートどう? ちょっと素敵でしょ? 最初ちょっと重いかもだけど。
投稿: しづく | 2004/12/10 18:00
ホントだ、ホントだ、もうパチパチだ~!
(…と、さりげなく今日は柚月で書いてます。^^)
>いずれにせよ、1つの歌に向き合うとき、自分の持ってる解釈力の全てを出し切りたいと思う。もちろんいろんな解釈があっていいわけで、他の人の解釈も聞いたりして自分の限界が見えてくる。限界がわかると、こんどはそれを壊せるようになるだろう。
特に↑の部分がとても重要だと思いました。
最近とみに自分の「読み手」としての限界もちょくちょく感じるようになりました。
でもめげずに向き合っていきたいと思います。
もちろん「詠む」ほうも。
そしてそれって相乗効果があるんじゃないか、と密かに期待もしているんだけど、どうかなぁ。(^^ゞ
投稿: 柚月 | 2004/12/08 23:16